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14/10/2009

基礎的な国語力

 池田信夫さんは次のように述べています。

 いま全国平均で時給713円の最低賃金を全国一律1000円に引き上げるという民主党の数値目標を本当に実施したら、人件費は20%近く上がり、中小企業は全体として赤字に転落するという調査もある。赤字になった企業は当然、雇用を減らす。少なくとも最低賃金の引き上げによって雇用が増える可能性はまったくない。これによって非正社員が正社員になるチャンスはさらに減り、格差も固定されるだろう。

 他人を「嘘つき」とののしり続けている人の発言としては,信じがたいものであるような気がします。

 民主党のマニフェストには,次のように記載されています。

40.最低賃金を引き上げる

【政策目的】

○まじめに働いている人が生計を立てられるようにし、ワーキングプアからの脱却を支援する。

【具体策】

○貧困の実態調査を行い、対策を講じる。

○最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。

○全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。

○景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。

○中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。

【所要額】

2200億円程度

 上記のような記載を読んだ上で,民主党の数値目標が「いま全国平均で時給713円の最低賃金を全国一律1000円に引き上げる」というものであると読むような国語力では,中央大学の法学部は受からないような気がします(上武大学大学院の経営管理研究科に受かるかどうかはわかりませんが。)。

 さらにいうと,小企業であっても,一番賃金水準の低い20~24歳の所定時間内賃金の平均は男子で約19.6万円,女子で17.8万円ですから,所定内労働時間を160〜170時間とすると,最低賃金の全国平均1000円を実現しても,人件費は20%も上昇しないように思われます。さらにいえば,短時間労働者の年齢階級、性別1時間当たり賃金も,概ね1000円前後なので,これを1000円としても,人件費は20%も上昇しないように思われます。考えてみれば当然のことであって,最低賃金の全国水準が現在713円だからって,多くの企業は最低賃金で労働者を雇用しているわけではないのですから。従って,仮に池田さんが言うように全国一律で最低賃金を1000円とした場合には,現在賃金単価が時給1000未満の労働者についてそれが1000円に上昇するだけなので,中小企業の従業員間の給与水準の差が相当大きく,一部の高給取りがいるために平均単価が1000円近くとなっているが,ほとんどは1000円を多く下回っているのだ等の事情がない限り,全体としての人件費は池田さんが脅すほどは上昇しないのではないかという気がします。

 まあ,フルタイムで働く従業員に健康的で文化的な最低限の生活を送れるほどの賃金を支払う余裕が中小企業にあるのであれば,金利規制を撤廃して金融機関にもっと利息を支払えといいたい人もいるのだとは思いますが。

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