« 発言の匿名性を守りたい人こそがすべきこと | Accueil | 弁護士は社会の「悪」に見て見ぬふりができない。 »

21/10/2009

現時点では,「お上」より匿名さんの暴走の方が現実的に危険なのです。

 novtanさんが次のように述べています。

ウェブってインフラにただ乗りしているだけの利用者(もちろん僕もだが)がいうことではない。しかも「事実上負わされること」はそこら中にあるでしょ。ちょっと架空の駅での犯罪予告するだけで通報されて捕まるわけじゃん。誹謗中傷が簡単に捕まらないのは誹謗でも中傷でもないか、相対的に軽い罪で手が回らんか、いずれにしても身元が特定できないからではないのは脅迫があっさりつかまることから言っても明らかでしょう。

 違います。2ちゃんねるのスタッフが,殺害予告を投稿した人のIPアドレスは自主的に開示するけど,誹謗中傷投稿した人のIPアドレスは開示しないからです。例えば,電通の社員が「スーパーフリーのメンバーであった」との事実に反する書き込みを2003年7月から2004年8月にかけて繰り返されついに辞職に追い込まれたケースなんかがあったわけですが,未だ犯人は捕まっていないわけです。神戸大学法科大学院において,特定の学生をターゲットに実名を挙げ、「ストーカー殺人をしたことがある」「自殺に追い込め」などの誹謗中傷を投稿していた人も未だに処罰されていないようです。ひき逃げ事件に関して,全く無実の人の名前と顔写真と携帯電話番号を晒してその人が犯人である旨の投稿を2ちゃんねるに行った犯人も捕まっていないと思います。スマイリーキクチの件では犯人の一部が逮捕されましたが,それまでの間,スマイリーキクチさんは10年間も言われなき中傷に晒されたわけです。

 また,このようにも述べています。

ウェブというメディアが情報統制をひくお上に対抗するためのメディアでそれに対する反抗の手段としての、人を傷つける武器としての、言葉を取り上げることを推進したいのであれば、この例えはそんなにおかしくないかもしれませんね。権力や既得権益側の言いたいことに近いようにも思える。本来制限されるべきは言葉なんじゃないかな。

でも言葉を制限することは実名でも誹謗中傷に近い発言が放置されている現状を見る限り、難しいと思うし、仮に制限できるとしたらその基準をどこに置くのか、結局お上の言うなりに表現を抑止される(というのも健全な社会としての一つの選択肢ではありますが)ことになるのではないか。となると、自由なメディアとしてのウェブは死ぬわけです(公には)。

 私を含め,相当の人数の人が,自分がどこの誰であるのかを明示しつつウェブ上で表現活動を行っていますが,「お上の言うなりに表現を抑止される」という状態にはなっていません。誹謗中傷でない表現を抑止しに行くというのは民主主義社会において「お上」が行うにはリスクが大きすぎますから。現実問題として,他人の表現を抑止しようとしにかかるのは,むしろ匿名さんの集団です。例えば,さくらちゃん事件のときには,娘の心臓手術に要する費用の一部について広く寄付を募るという表現活動について,執拗な誹謗中傷によってこれをやめさせようとしたのは「お上」ではなく,匿名さん集団です。病弱な少女に座して死を待つことすら強要しようとしたのは,「お上」ではなく,匿名さん集団です。

 また,次のようにも述べています。

前述したように、度を越えた時に相手を訴えるためのトレーサビリティは十分だし、手続きの面についてももっと容易になってよいと多くの人が言っているわけですな。

 ということで,「度を越えた時に相手を訴えるためのトレーサビリティ」は全くもって不十分です。現在,2ちゃんねるに関して言えば,誰を相手に発信者情報開示請求を行いうるのかすら明らかではありません。まあ,サーバ管理者であるN.T.Technology社を相手にするという方法はありますが,外国法人なので,仮処分申立書を送達するだけで領事送達でも約3カ月ほどかかりますから,仮処分命令によりIPアドレスの開示を受けてもアクセスプロバイダの側でその頃のアクセスログを消去してしまっている可能性が大です。

 また,登録されている氏名住所の真正性をはてなが確認しようとしたときに猛烈な反対が起こりましたし,私が共通ID性を提唱したときも感情的な反発を受けました。結局,自分はときに度を超えることを前提に匿名性を利用しているので,度を超えてしまったときに法的責任をとらされるような仕組みは全く賛同できない,というのが匿名さんの大勢でしょう。

« 発言の匿名性を守りたい人こそがすべきこと | Accueil | 弁護士は社会の「悪」に見て見ぬふりができない。 »

Commentaires

L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.

« 発言の匿名性を守りたい人こそがすべきこと | Accueil | 弁護士は社会の「悪」に見て見ぬふりができない。 »

octobre 2017
dim. lun. mar. mer. jeu. ven. sam.
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31