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12/10/2009

実名・匿名論争が論じるべきテーマはたった一つ

 「実名・匿名論争が論じるべきテーマはたった一つ」です。

 無責任に他人を攻撃する自由を認めるのか否かです。

 もちろん,ここでいう「責任」には,法的責任と社会的責任の2段階があり,法的責任には刑事責任と民事責任の2種類があります。

 そして,ここでいう「他人」は,実名でブログを開設する人に限りません。

 ネット上の人格と現実空間での人格は切り離されるべきであり,ネット上の人格が行った違法行為又は非道の行為の責任を現実空間での人格が負わされるべきではないという見解に立てば,ネット上の匿名性は守られるべきということになります。そこでは,匿名で他人を攻撃する分には,実体法上それが違法なものであっても,刑事罰を課されたり賠償金を支払わされたりという不利益を現実空間の人格が事実上負わずに済むことになります。また,その社会的評価が低下するような非道な言動を行ったからといって現実空間での人格の社会的評価をまで低下させられるのはおかしいとの見解に立てば,ネット上での言動と現実空間での人格とは切り離されるべきだということになります。

 そういう意味では,固定ハンドルが用いられていても,捜査機関や被害者が容易にその者の実名を知り得るのでなければ,刑事責任又は民事責任との関係では,「匿名」ということになりますし,捜査機関や被害者ならばその者の実名を知り得るシステムが実効的に用意されたとしても,違法ではないが非道な行為との関係では,「匿名」ということになります。

 ですから,「2ちゃんねる」について,殺害予告を行えば通報されて逮捕されているからそれでよいのだ,でとどまっている人は,「2ちゃんねる」において殺害予告以外の方法により無責任に他人を攻撃する自由を認めるべきだと言っているのとほぼ同値だと言うことになります。


 【追記】

 「公的捜査機関」以外は匿名さんに手出しできないようにするという見解を述べる方もおられるようです。その見解は結局,刑事罰が法定されていない違法行為(例えば,プライバシー権侵害行為や肖像権侵害行為)等は,匿名の陰に隠れて事実上無責任にやりたい放題とするということを意味しているように思われます。

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Commentaires

 「固定ハンドル」だから社会的責任を果たしているかというと,そうはいえないでしょう。あのハッカ飴さんだって「固定ハンドル」だったわけですから。
 
 現場レベルの話でいえば,企業からの相談で多いのは,書き込みの内容からして,どうも同業他社がデマを飛ばしているらしいというものです。今のネット上では,企業に関するネガティブコメントはその真偽を問わず歓迎される傾向が強いので,ウェルカムされるという意味では,ネット内での「社会的責任」は果たしているのかもしれませんが,それは法的な責任は明らかに果たしていないわけです。

社会的責任と法的責任は連動しているわけで、追跡不可能な固定ハンドルといったものは、ネット世論では社会的な責任を果たしてはいるが、法的な責任については逃れるように意図している、とみるべきでしょうね。

で、社会的責任をそれなりに果たしている人が法的な責任が生じるようなことを意図して実行するのか?と考えてみると、あまり無いように思います。

例えば内部告発を実名で云々は以前から問題にされているところですが、社会的には出発点(告発運動の始まり)から告発者と被告発者がイコールではないのだから、実際問題として匿名を認めないわけにはいかないでしょう。

つまり、外見的には決めにくい。

一方、社会的責任からも逃れる捨てハンドルとなると、これは法的責任から逃れるのも簡単と意図していると考えて良いでしょう。

こんなところで、責任を追及するつまり事件を起こす前に「怪しさの判定が出来る」となってきます。
まあ、ここらが社会的常識になればよいのだろうと思いますが、なかなかそうはいかない。

そこで、どこからが「違法ではないが非道な行為」とするのか(社会的な判断基準にするのか)が非常に興味深いところです。

わたし自身は、読み手の信用の問題に行き着くのかな?とも思っています。
信用を押しつけることができないから、実名強制といったことが追求は容易にしても、防ぐことには役立たないだろう、と思うのです。

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「実名・匿名論争が論じるべきテーマはたった一つ」です。 それは、誰に捜査権限・追求権限・報復権限を与えるかということです。 ということで、まずは小倉先生の的外れなエントリを非難させてもらおうと思う。こんな酷いプロパガンダは見たことが無い。 「2ちゃんねる」... [Lire la suite]

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