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01/10/2009

職業訓練のニーズ

 城繁幸さんが次のように述べています。

が、それだけで問題が解決するわけではない。

というのも、最大の問題は、こんなザル政策でも文句の一つも

出ないほどに、そもそも職業訓練のニーズが日本社会に

少ないという現実だ。



理由は、日本企業は職務ベースではなく、「新卒・正社員・総合職」といった出自に

基づいた身分制なので、そもそも職務というものへのニーズが薄いためだ。

“博士”という最高の訓練を受けた人材でさえ敬遠される国。

悲しいけど、それが日本の実情である。


 博士課程は基本的に研究者になるための訓練をするところなので,研究者を必要としていない企業が「博士」を敢えて採用したいと思わないことは自然ではないかと思われます。

 城さんって,人材コンサルを自称している割には不思議な認識をお持ちです。実際には,いわゆる一部上場企業においてすら相当数の中途採用組がいるし,まして中小ベンチャー企業をや,というのが現実です。とりあえず早急に必要とされている部署に即戦力をおくという場合には,他の企業でその部署を経験した実績のある人を雇う方が確実ですから。といいますか,そういう場合に必要とされている人材を企業に紹介するのが人材コンサルタントの重要な仕事の一つだと思うのですが,城さんはそういうお仕事はなさっていないのでしょうか。

 「大学新卒の正社員採用」というのはもともと,「とりあえず早急に必要とされている部署への即戦力」として採用されているわけではないので,職業訓練をいくら受けたって「大学新卒」組を押しのけて正社員として採用されるってことにはなかなかなりにくいとは思います(大学新卒組は,当面要求する賃金水準も比較的低いので,彼らに対して価格面で競争を挑むのは得策ではありません。)。しかし,「とりあえず早急に必要とされている部署に即戦力をおく」という企業ニーズに合致した職業訓練がなされた場合には,「他の企業でその部署を経験した実績のある人」を押しのけて中途採用される可能性は十分にあります(一般に,「他の企業でその部署を経験した実績のある人」は希望する給与水準が高いので,職業訓練を経ることによりある程度即戦力性が担保されるのであれば,価格面での優位を生かすことができる可能性があるからです。)。

 もちろん,現在の職業訓練プログラムが企業ニーズに合致しているのかという問題はあるし,それはそれで早急に改善されるべき問題ではありますが,職業訓練のニーズ自体を否定してしまうのはいかがなものかなあと思ってしまいます。

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Commentaires

高校生などにキャリアー教育として接していますが、われわれ団塊の世代(高度経済成長時代)には「(会社が成長するから)終身雇用が良い」とされていたのに、現実にはまともに入社・終身雇用を満喫した人はわたしの周辺には意外と少ないです。

どっちかというと少数派。

それが、昨今の新社会人の就職競争は、どうも大会社=終身雇用、に向いているように感じます。

そもそも、学生生徒に「仕事に就くとは」を説明するのが無理なのではないか?と思うようになりました。

弁護士の方は、学生時代に弁護士になろうと決意して、猛勉強した方ばかりではないかと思いますが、他には医者やパイロットといった極めて小数の職業が、社会に出る前の段階で方向を決めて勉強せざるを得ない職業だと言えます。

多くの学生にとっては「○○業界」と「○○職」あるいは「○○地域で」といった漠然とした目標しか無く、就職活動をしているのが現実です。

何よりも、仕事というものが、社会=他人に関わることを実感していない。ごく最近は、高校でもアルバイトを認めていますが、数年前に仕事の話をするのに「アルバイトについては一言も言及するな」と学校から釘を刺された事があります。

つまり、この学校では「教育としての仕事の話」を要求していたわけで、それ自体が矛盾であることに気づいていなかった。
高校でアルバイトに言及できるようになった、とは言っても当の生徒がアルバイトは仕事だとは思っていない。

こんな事だから、結局はなんらかの仕事に就くということで実社会に出るまでは、仕事というものをイメージできない若者が大半である社会のように思うのです。

職業訓練について言えば、このような仕事(=社会に出る)のイメージがない人に職業訓練をするのはすごく難しいと思う。
いわゆるニートといった人たちには、こういう「仕事のイメージそのものが無い人」が多いのではないだろうか?

職業訓練以前に社会教育の基本が確立していることは必須だと思うのですが、どうもこの社会訓練が全くダメというのが多すぎる。
例えば、学校に遅刻するというのも、良し悪しは一律の判定ではなくて、相手次第だ(受検の遅刻は許されないとか)が分かっていなかったりする。

社会全体が幼児化しているということかもしれない。

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Voici les sites qui parlent de: 職業訓練のニーズ:

» 研究者を必要としていない技術立国 [Mutteraway]
自民党時代に始まった「緊急人材育成・就職支援事業」が、民主党政権で見直しされるようです。jyoshigeさんは職業訓練なんて誰も求めちゃいないと仰っています。日本企業は職務ベース... [Lire la suite]

» 職業訓練制度について思う [文理両道]
 城繁幸氏は彼のブログJoe's Loboで「職業訓練なんて誰も求めちゃいない」で、補正予算で6000億以上拡充された「緊急人材育成・就職支援事業」による制度が不人気な事をあげ、その理由として、制度の複雑だけでなく、企業内の身分制度が固定され、職を求めている人と正社員との間に競争が行われないからだと主張している。  彼は、「“博士”という最高の訓練を受けた人材でさえ敬遠される国」だと嘆いている。「博士課程」が職業訓練だということには大いに疑問があるが、確かに我が国で普通に見られる「新卒」を偏重した... [Lire la suite]

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