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novembre 2009

27/11/2009

自己責任教信者は具体的な現実を見据えない。

 研究者の世界って面白くて,本務校の学部偏差値と中堅以上の研究者としてのレベルって,それなりに相関関係がありそうに思えてきます。

 さて,大月隆寛・札幌国際大学人文学部教授が次のようなことを述べています。

『派遣切り』の問題も同じで、正社員より仕事ができる派遣社員になったら会社もおいそれとクビにできないはずだが、今や派遣社員の側にそうしたおのれの立場に見合ったプライドも持ちにくくなっている。それぞれが自分の分際を見失いつつある現状をいたずらに追認して甘やかすだけの政策の乱発は、政治からも国民と国家の未来を見通すだけの器量がなくなっている証拠だ

 世の中には,マニュアル化された仕事を淡々とこなすことが期待されている仕事というものが少なからずあって,そういう仕事においては「仕事ができるが故においそれとクビにできない労働者」というのは出現しないということを,少なくとも札幌国際大学の教授という立場であれば理解すべきではないかという気がします。といいますか,企業としては,個の力量に過度に依存しなくても済むならばその方が商品・役務の安定供給に繋がりますので,マニュアル化の推進により労働力のコモディティ化を目指すのは当然なのです。

 さらにいえば,正社員が保護されている以前に,派遣先と派遣元との契約の中で,派遣社員を派遣先の会社が直接雇用するとかなり高額のペナルティが課されるという約定となっている例が多いこともまた考慮されるべきではないかと思いますし,そもそもの話をするならば,昨年問題となった「派遣切り」では,生産量を縮小する一貫として行われていたわけですから,「正社員より仕事ができる派遣社員」だからといってクビにしたくないと考える要素は乏しかったということは正しく認識されるべきでしょう。

人種差別表現を広く流布させることにこだわるGoogleという白人中心の企業

 "Michelle Obama"をキーワードとしてGoogle画像検索を行った際に,ミシェル・オバマ大統領夫人を人種差別的に醜く描いた画像がトップに表示されることに関して,Googleがその画像を検索結果から削除する意思のないことを表明したことが世界的な話題となっています(BBCのHAVE YOUR SAYコーナーのテーマにすらなっています。)。

 先日の法とコンピュータ学会での発表の延長戦ではないですか……。

 まあ,Googleは

Accordingly, we do not remove a page from our search results simply because its content is unpopular or because we receive complaints concerning it,

と言っているそうなのですが,これって,Googleとしては,黒人差別というのは評判が良くないというだけで,悪いことではないと考えていると表明しているのでしょうか。Googleの創業者って白人だし,これを見る限り,白人比率が高い会社のようです。

 Googleの場合,過剰なSEO対策を行うと検索結果から削除されることがありますので,人種差別は,SEO対策ほど悪いことは考えていないということなのでしょう。

26/11/2009

追い出し屋を根絶するために

 池田信夫さんが次のようなことを述べています。

バブル期の記憶がない人も多いので、当時の事件を取材した記録を書いておこう。もとは「地上げ」という言葉はなく、権利関係の複雑な土地の所有権だけを買うことを底地買いと呼び、それを請け負って店子を追い出す業者を地上げ屋と呼んだ。本源的な買い手は大手不動産業者やゼネコンだが、彼らが地主との交渉に出ると地価が上がるので、最上興産のような暴力団のからんだ地上げ屋が、底地を買って借家人を追い立てた。地主が立ち退きを求めて訴訟を起こしても勝てないので、生ゴミを家の前に置くとか街宣車で騒音を出し続けるなどのいやがらせで追い出すしかなかったからだ。

だから追い出し屋を根絶するのは簡単である。家賃を滞納している借り手に対して家主が訴訟を起こしたら、裁判所が借り手に退去を命じればよいのだ。これは事後の正義にもとるようにみえるが、家主が賃貸住宅を建設するインセンティブを高め、結果的には優良な賃貸住宅が大量に供給され、家賃も下がるだろう。これは60年前にフリードマンとスティグラーが提唱した「家賃規制の理論」と同じだ。

 もはやアゴラのコメント欄にはこの程度の誤りを指摘する人もいないようです(承認されていないだけかもしれませんが。)。

 バブル期に「地上げ屋」による追い出しの対象になっていたのは,主に「家賃を滞納している借り手」ではありませんでした。その多くは家賃をきちんと納めている借地・借家人であり,また小規模地主もまた追い立ての対象となっていました。ですから,バブル期の追い出し屋を根絶するには,「家賃を滞納している借り手に対して家主が訴訟を起こしたら、裁判所が借り手に退去を命」ずる仕組みなど意味がありません。不動産デベロッパーが不動産の購入を申し込んだら小規模土地所有者はこれを承諾してどこかに出て行かなければならない仕組みが必要です。

 なお,家賃を滞納している借り手に対しては,その滞納が貸主との信頼関係を破壊する程度に至った場合は,貸主は賃貸借契約を解除した上で賃貸物件の明渡しを請求することができます(これは,借主の保護という側面もないわけではありませんが,継続的契約関係のもとでは一度や二度の債務不履行では契約関係を全面的に解消させるべきではないという側面もあります。)。これに関していえば,明渡しを命ずる判決が確定すれば,実際に強制執行等を行うことができますし,実際に行われています。金銭債権と異なり,執行の対象が確実に存在するので,執行が不能となることはほぼありません。

 ただし,裁判制度は,相手方にも反論の機会を保障する必要があるため,どうしてもその解決には相当程度の時間がかかってしまいます。現代型の「追い出し屋」が入り込む余地はそこにこそあります。したがって,追い出し屋を根絶するためには,近代的な裁判制度を否定して,一定額以上のお金を積めば,借主の言い分を聞くことなく,国家権力が,借家人を借家から追い出し,あるいは,借地上の建物を打ち壊して借地人を借地から追い出す仕組みが必要となります。

 そこでは,賃貸借契約を結んでも,明日,家財一切がゴミ捨て場に全て投じられ,そのままホームレスにならざるを得なくなるかもしれませんので,いくら「優良な賃貸住宅が大量に供給され」ても借り手がいなくなる危険が高まります。そのような状態で「優良な賃貸住宅」の建設費に見合うだけの賃料収入を貸し手が得られるのだろうかということが問題となり得ます。

22/11/2009

「市場は思うように動かない」からこそ政府は介入する

 池田信夫さんが、また,自分の思い通りに動かない人を非難するのにTwitterを活用されているようです。

誤解のないように補足すると、ビジネスマンは経験的にわかると思いますよ。厄介なのは、鳩山・菅のような工学部系や官僚のような法学系。「市場は思うように動かない」という感覚が身についてないから、経済をコントロールできると思って直接介入する。

 そうではなくて,ある程度社会のことがわかった大人は,「市場は思うように動かない」という感覚が身についているからこそ,一定の政策目的実現のために政府が介入しなければならないと思っているのではないか,と思われます。むしろ,「小さな政府」論者の方が,市場に多くを委ねれば市場は自分が想定するとおりに動くということを暗黙の了解とされているように感じられます。でなければ,「賃金原資保存の法則」などという,観測されたデータからも乖離する理論を前提に,解雇規制の緩和がさも末端労働者の利益になるかのごとき言動などできないのではないかと思われてなりません。

14/11/2009

貧困ビジネス

 「ノンワーキング・リッチ」という正規労働者の中でも希有な存在をあたかも普遍的な存在であるかのように描いて正規労働者に対する憎悪を煽り,解雇規制が撤廃ないし緩和されれば今よりも報われるようになるとして非正規労働者に根拠の乏しい夢を見させて,彼らに自著を購入させたり,その主催する(決して安くない)有料の講演会に出席させたりする類の評論家こそ,「貧困ビジネス」の典型ではないかと思う今日この頃です。

 もちろん,「賃金の原資は一定である」という普通に考えればあり得ない(即時解雇をちらつかせることにより一定数の労働者の賃金を減額させることに成功したとして,それにより浮いた資金は,役員報酬や株式配当に全く回されることなく,その全てが,その他の一定数の労働者に賃上げという形で分配されるはずだ,というのはあまりに経営者と株主について性善説に立ちすぎるでしょう。)法則を前提にしなければ導かれない「正規労働者の労働環境が悪化すれば非正規労働者の労働環境が改善される」というある種のお告げを信じて正規労働者を呪って生きる方がまだ希望が持てるという非正規労働者もいるかもしれません。それはそれで,Johnが「生きていくことなんて簡単さ」とお告げしている通りの生き方の,一つのバリエーションなのでしょうし。
 

11/11/2009

時間に対する感覚の差

 世の中には、私たちとは時間の感覚が大いに異なる人がいます。

 私も、4月16日(木)の11時03分にブログ上のある発言についての撤回を求めるメールの送付を受け、さらに、その日の13時18分に、何の返事もないということは撤回しないという意思表示かとして、15時までに撤回しないと懲戒請求するぞというメールを送られたことがあります。でも、私たち弁護士って、意外と外回りが多いので、事務所で起案しているとき以外はそんなに頻繁にメールってチェックしていないのです。弁護士でなくとも、普通のビジネスマン等であれば、大抵そうだと思うのですが(弁護士はまだ時間の自由がきく方です。)

 私たち弁護士は、よくよく人間の生命身体等に差し障りがあるような本当の緊急時を除けば、相手に何かを要求するとき、相手がこれに対処するのに通常要する時間というのを計算に入れて期限を設定します。相手が期限内に何も対処しなかったという実績がほしいのではなく、相手に期限内に適切な対処をしてもらうことを重視するからです。

 ですから、

日中はフルタイムの仕事をしていますので、当たり前のことですが、その時間帯にメールやtwitterなどで質問やご要望を出されてもお返事ができません(公務員の職務専念義務がありますので、それらを見ることすらできません)。
という矢野さんの発言は全くその通りだと思います。

09/11/2009

労働に対し対価が支払われるのは当然

 どうせ次期通常国会で公職選挙法の改正を行うのであれば、選挙運動のための事務に従事する人々に相応の給料を支払うことを禁止する規定も廃止してしまえばいいのに、と思ったりします。

 選挙期間中無給で選挙運動を手伝ってくれる人をどこかの企業や団体から派遣してもらうことによって生じうる癒着を排除できるのであれば、選挙運動を手伝うのに通常必要な人数分(そこは法定しても良いように思います。)が「給与」を通じて買収されるリスクがあるにせよ、そこは目を瞑れるような気がするのですが。

06/11/2009

「自動収集された違法コンテンツについての検索サービス提供者の義務および責任」

 今度の法とコンピュータ学会の発表ですが,今のところこんな感じで話をしようと思っています。まあ,当日までの間に微調整を入れる可能性がないわけではありませんが。



一 問題の所在

1 なぜ「検索サービス提供者」か?

  名誉等毀損情報自体の削除の困難性→次善策としての検索防止

  自己の氏名・名称でその名誉等毀損情報が集積されることのダメージの回避

  自己の氏名・名称が自己と無関係の情報と紐づけられることにより新規に創出される名誉等毀損状態の解消

2 検索サーバ提供者の名誉等毀損情報拡布への関与形態

二 スニペット・サムネイルによる名誉等毀損情報拡布

1 名誉等毀損情報の発信の主体は誰か。

2 プロバイダ責任制限法3条1項適用の可能性

  Metropolitan International Schools vs Googleとの対比

3 送信防止措置請求における対象との特定

ア 電子掲示板内の、名誉等毀損情報を含む発言

  →スレッドごとの削除要求の可否

イ 名誉等毀損行為を構成する文字列自体の削除の可否

4 名誉等毀損情報が投稿される蓋然性の高い電子掲示板等をクロールの対象とすること自体が過失を構成するか

5 第三者の提供する検索用サーバを利用して自己の名義で検索サービスを提供する「ヤドカリ事業者」の責任

ア ヤドカリ事業者の共同不法行為責任

イ ヤドカリ事業者に対する削除請求の可否

  →東京高判平成19年5月30日判決とその克服


三 名誉等毀損情報掲載ページへのリンクによる名誉等毀損情報拡布

1 名誉等毀損情報掲載ページへのリンクの法的な位置づけ

  主体説(ファイルローグ、大阪高裁H21.10.2)

  幇助犯説(大阪FLマスク)

2 リンク先ページでの法益侵害への誘因に関する積極性

   被害者からの削除要請に対してスニペットの削除にのみ応じた場合


四 検索サービス提供者の刑事責任

1 条理上の削除義務と不真正不作為犯の処罰根拠としての作為義務

2 ヤドカリ事業者が国内にあり、サーバ管理者が国外にある場合の刑法の適法範囲


五 幸福追求権の一態様としての「検索されない権利」

1 プライバシー権? 氏名・肖像権? 自己情報コントロール権?

2 夥しい量の名誉等毀損情報と紐づけられている場合

04/11/2009

4年間役立たずでいることの評価

 現在議員ではなく次回選挙で議員になろうとする人が次回の選挙のための運動だけをしていたとしてもそれは致し方ないことなのでそれ以外何もしていないことについて有権者は寛大になれるけれども、選挙に通って議員になったのに次回の選挙のための運動と党内研修しかしていない1年生議員がそれ以外何もしていないことについて有権者が寛大でいてくれるという確信をなぜ小沢一郎幹事長が持っているのか、私には理解できなかったりします。

規制とは,好ましくない結果発生の蓋然性を低下させるものに過ぎない

 素手で人を殺す人もいる。スプーンを握りしめて銀行強盗を行おうとする人もいる。でも,そのことは治安維持のための銃規制の必要性を何ら否定しない。

 しらふで運転しても交通事故を起こす人は少なからずいる。でも,そのことは交通安全のための飲酒運転規制の必要性を何ら否定しない。

 ナンバープレートをつけた自動車に乗っていても,速度違反をする人はいるし,ひき逃げをする人もいる。でも,そのことは交通安全のためのナンバープレート設置の義務づけの必要性を何ら否定しない。

 実名を用いながら,自分が敵わないと思った人間を中傷し侮辱してやまない大学教授がいたとしても,そのことはネットの秩序を維持するための匿名表現規制の必要性を何ら否定しない。



 規制とは,好ましくない結果発生の蓋然性を低下させるものに過ぎないから,規制を設けても,その好ましくない結果がなおも発生することは通常当然に予定されています。だからといって,その規制は必ずしも無駄ではありません。故に,殺人行為を犯罪行為と位置づけてほぼ全面的にこれを規制する法制度をとっている国々においてなおも殺人事件が発生しているにもかかわらず,殺人行為についての法規制の撤廃を求める声は先進国ではあまり見られません。

03/11/2009

犬以下の知能の人間に正面から反論できないって自負?

 池田信夫さんが,Twitterで次のようにつぶやいているようです。

犬は相手にしないと吠えなくなるので、バカは無視するのが一番。しかし犬以下の知能の人間にはこれも役に立たないので、検索では-hamachan -la_causetteなどとオプションをつけています。向こうは吠え続けているらしいけど(笑)

 これは私と濱口先生を「犬以下の知能の人間」と決めつけるもので,法的にいうと明らかに違法です(公的に追い詰めて,これから起こることの責任を押しつけられても不快なので,とりあえず放置しますが。)。よい子はまねしないようにしましょう。っていうか,本当に無視しているのなら言及しなければいいのに。

 湯浅誠さんを「知的な権威とは無縁の人物」と言ってしまっているのもやばそうです。東京大学法学部→東京大学大学院法学政治学研究科単位取得退学ですから,東京大学経済学部→(NHK)→慶應義塾大学SFC大学院 政策・メディア研究科修士課程修了→慶應義塾大学博士(政策・メディア)に「知的な権威とは無縁」といわれる筋合いはないと思われます。東大では昔から文Ⅰ>文Ⅱですし。

 挙げ句の果てに,湯浅さんたちの活動を「最近の運動にはその程度の思想もないので、社会的なインパクトがない。」とまで言ってしまっているようですが,社会的なインパクトがあったからこそ,政府もまた様々な対策を講ずることにしたのだと考えるのが普通ではないかと思われます。


 ところで,私はBLOGOSの編集部から丁重なお誘いを受けているのですが,私がBLOGOSに参加したら,池田さんは検索の際に,-blogos等のオプションを追加するのでしょうか。

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