貧困ビジネス
「ノンワーキング・リッチ」という正規労働者の中でも希有な存在をあたかも普遍的な存在であるかのように描いて正規労働者に対する憎悪を煽り,解雇規制が撤廃ないし緩和されれば今よりも報われるようになるとして非正規労働者に根拠の乏しい夢を見させて,彼らに自著を購入させたり,その主催する(決して安くない)有料の講演会に出席させたりする類の評論家こそ,「貧困ビジネス」の典型ではないかと思う今日この頃です。
もちろん,「賃金の原資は一定である」という普通に考えればあり得ない(即時解雇をちらつかせることにより一定数の労働者の賃金を減額させることに成功したとして,それにより浮いた資金は,役員報酬や株式配当に全く回されることなく,その全てが,その他の一定数の労働者に賃上げという形で分配されるはずだ,というのはあまりに経営者と株主について性善説に立ちすぎるでしょう。)法則を前提にしなければ導かれない「正規労働者の労働環境が悪化すれば非正規労働者の労働環境が改善される」というある種のお告げを信じて正規労働者を呪って生きる方がまだ希望が持てるという非正規労働者もいるかもしれません。それはそれで,Johnが「生きていくことなんて簡単さ」とお告げしている通りの生き方の,一つのバリエーションなのでしょうし。
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