自己責任教信者は具体的な現実を見据えない。
研究者の世界って面白くて,本務校の学部偏差値と中堅以上の研究者としてのレベルって,それなりに相関関係がありそうに思えてきます。
さて,大月隆寛・札幌国際大学人文学部教授が次のようなことを述べています。
『派遣切り』の問題も同じで、正社員より仕事ができる派遣社員になったら会社もおいそれとクビにできないはずだが、今や派遣社員の側にそうしたおのれの立場に見合ったプライドも持ちにくくなっている。それぞれが自分の分際を見失いつつある現状をいたずらに追認して甘やかすだけの政策の乱発は、政治からも国民と国家の未来を見通すだけの器量がなくなっている証拠だ
世の中には,マニュアル化された仕事を淡々とこなすことが期待されている仕事というものが少なからずあって,そういう仕事においては「仕事ができるが故においそれとクビにできない労働者」というのは出現しないということを,少なくとも札幌国際大学の教授という立場であれば理解すべきではないかという気がします。といいますか,企業としては,個の力量に過度に依存しなくても済むならばその方が商品・役務の安定供給に繋がりますので,マニュアル化の推進により労働力のコモディティ化を目指すのは当然なのです。
さらにいえば,正社員が保護されている以前に,派遣先と派遣元との契約の中で,派遣社員を派遣先の会社が直接雇用するとかなり高額のペナルティが課されるという約定となっている例が多いこともまた考慮されるべきではないかと思いますし,そもそもの話をするならば,昨年問題となった「派遣切り」では,生産量を縮小する一貫として行われていたわけですから,「正社員より仕事ができる派遣社員」だからといってクビにしたくないと考える要素は乏しかったということは正しく認識されるべきでしょう。
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紹介された記事を読みましたが、呆れ返ります。
この先生、派遣労働者と正社員の違いを職種(職業ではない)の違いと全く同列だとしていますね。
職種の違いとは、営業か設計かといった違いで、同じ会社の中でもサラリーマンであれば、配転で経験するのが日本では一般的です。
当然、このようなケースでは前の職場ではお荷物だった人が、別の職場で才能を開花させるということは良くありましたし、それこそが会社のキャリアー形成の一つであるとされています。
派遣労働の本質は、会社が社員教育をしないで済む労働者を使用することであって、別の職場でと発揮される能力なんてものは、むしろ障害になります。
現実に、そういう職場内での派遣労働者のスキルと職場での摩擦は極めて多いです。
これらをまとめると「正社員より仕事ができる派遣社員」なんてものに進化されては派遣労働そのものが崩壊しますよ。
これは「先輩よりも仕事が出来る新入社員」の置き換えに過ぎないでしょう。
つまりは、派遣労働という仕組みそのものを知らない(考えない)で論評しているとしか思えません。
派遣労働は社会を弱くしているという現実をどう考えているのでしょうかね?
Rédigé par: 酔うぞ | 28/11/2009 11:50