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décembre 2009

31/12/2009

ILO対城?

 城繁幸さんがあいかわらず「規制で失業率が上がりますと言いながら規制しようとする妙な人たち 」なんていうエントリーを書いているようです。

 ところで、雇用規制というのは、連合が有力な支援団体となっている民主党中心の連立政権のみが唱えている政策ではありません。例えば、現在、国際労働機関(ILO)は、鉱業及び採石業における児童労働の廃止を目指しています

 もちろん、ILOから批判を受けている国々が鉱業及び採石業における児童労働を禁止する法律を制定しきちんと実施してしまうと、それまで鉱業及び採石業における労働に従事していた児童は失業してしまうわけで、おそらく、そこで失業した児童を吸収する産業はかの国々にはないのだろうとは思います。従って、城さんの立場からすれば、鉱業及び採石業における児童労働を禁止しようとするILOは間違っている、鉱業及び採石業者が利潤を極大化できるような雇用条件で児童を雇用し労働に従事させることに政府は文句をつけるべきではないということになるのだろうと思います。

 ただ、労働法制の歴史を振り返れば、明日の失業率の上昇を恐れて劣悪な労働環境を容認し続けると、いつまでもそこから脱却することができなくなるので、どこかの段階で悪循環を断ち切るアクションが必要となります。失業するリスクがあっても、米国の黒人奴隷の多くが解放されることを望み、北軍の兵士として戦ったのです。その選択は間違っていたのでしょうか。間違っていたと考える人は、城さんの見解をありがたく拝聴し続ければよいでしょう。

「ピザの王将」を開業するのは、あなたです。

 池田信夫さんが次のようにつぶやいています。

日本の宅配ピザって高いなぁ。どこの国でも10ドルしないのに。「ピザの王将」が出てきたら、当たると思う。

 全く、何を言っているのだか。

 そんなことTwitterでつぶやいている暇があったら、すぐにでも大学をやめて(まあ、授業を途中で放棄されると事務局が大変なので3月末でもいいけど)、自ら「ピザの王将」を開業する。それこそが、「アゴラ起業塾」まで作って広めようとしている起業家精神というものです。

 自分は、上武大学大学院経営管理研究科教授程度の職にしがみついて、「当たると思」っている「ピザの王将」の開業に踏み出すことができないでいるのに、どうして普通のサラリーマンに対し今の職を辞めてチェーン傘下のラーメン店を開業するように呼びかけられるのでしょう。

 まず隗より始めよ、です。

30/12/2009

自動応答とml

年末年始等の長期休暇等の際にメールの自動応答設定する方は少なからずいるのですが、その場合メーリングリストは対象から外すべきだと切に思います。

諸外国の大学教授の給与水準

 日本の大学教授の給与水準を引き下げると「頭脳流出」してしまうと騒ぐ人たちがいます。

 ただ、European University Instituteが公表する「Careers by Country」を見る限り、諸外国における大学教授(Full Professor)の給与水準って、日本と比べて高くはないようです。

 米国ですら、Full Professorの平均年収が115000 $(1$=92円換算で約1060万円で、日本よりやや低い程度)です。仏国では、Normal ClassのLast Stageで月4,305ユーロ(1ユーロ=132円換算で約57万円)です。 Full Professorのスタート時は2940ユーロ(約39万円)です。独国では、Full ProfessorのGross monthly salaryが約4724ユーロ(約62万円)です。比較的給与水準が高い加国ですら、月7145ユーロ(約94万円)で、やっと日本とどっこいどっこいです。でも、「頭脳流出」を心配するほど、日本の研究者を受け入れるキャパシティが加国にあるのかというと、かなり疑問です。

 あるいは、理工系等については普遍的であるが故に「頭脳流出」を防ぐための給与水準の維持が必要だとしても、経済学部等の文科系学部についてはその心配はほぼいらないので、その給与水準を戦略的に引き下げても何の問題もないと言えそうです。経済学なんて、「マンキューの教科書を読め」で足りる程度の学問であるならば、「マンキューの教科書」を上手に翻訳できる人が数人いれば足りるのであって、それは平均年収1100万円も支払うに足りる仕事でもなさそうです。

27/12/2009

法律扶助額(公費)の少なさ

 こちらのブログでは、日本の高等教育に対する公財政支出の少なさが嘆かれています。

 ただ、米国の半分のあるというのは、日本の法律扶助に対する公財政支出の少なさから見ると、恵まれているように感じられます。

 こちらでは人口一人あたりの法律扶助額(公費)の国際比較をしていますが、日本のそれは米国のそれの約11分の1です。World Factbookを利用して「法律扶助額(公費)/名目GDP」を計算すると概ね次のようになります。集計年や為替相場により多少の増減はありと思いますが、日本の法律扶助額は常軌を逸しています。Hujogdp

25/12/2009

はてなとGoo

 様々なCGM系のサービスにおいて、権利侵害情報の削除要求をどのように受け付けているのかを検証してみましょう。

 「はてな」の場合、「トップページ」→最下段の「ヘルプ・お問い合わせ」→最下段の「A href = http://www.hatena.ne.jp/faq/“>FAQ・お問い合わせ」→中段の「規約違反行為や不適切な情報について」でようやく「お問い合わせ」を送信するフォームにたどり着きます(ただし、通常のモニター環境では、一旦画面を下方にスクロールしないと、フォームが目に入らないように思われます。)。

 「規約違反行為や不適切な情報について」ページの上段には、「はてなのサービスで私の権利が侵害されています。 どう連絡すればよいですか。 また、はてながどんな手順で対応するか教えてください。」というQが掲載されており、これをクリックすると、

はてなでは、著作権や人格権を侵害する情報の掲載を禁止事項としており、侵害情報に対しては、プロバイダー責任制限法およびそのガイドラインに基づき、情報の削除あるいは公開停止といった対応を行います。詳しい削除基準については「はてな情報削除ガイドライン」を、手続きの流れについては「はてな情報削除の流れ」をご参照ください。

実際にご自身の権利が侵害されており、情報の削除や公開停止を希望される場合には、お問い合わせフォームからご連絡ください。その際には下記の事項を明記していただきますようお願いいたします。

という表示が現れます。この文章内にある「お問い合わせフォーム」をクリックすると、「規約違反行為や不適切な情報について」のトップに画面が遷移します。フォームの直前に「form」という名前のアンカーを打ってあるのですから、そこに画面が遷移するようにすれば、よりわかりやすいのにとは思いますが(さらにいうなら、「規約違反行為や不適切な情報について」ページには、トップページから直接リンクを張るべきなのではないかなあとも思います。)。

 そして、はてなは、権利侵害情報の削除を求める人に対し、次の事項を明記するように求めます。

住所/氏名/連絡先/侵害情報についての各情報/掲載されているURL/掲載されている情報/侵害されたとする権利/権利が侵害されたとする理由/著作権侵害の場合以下の各情報/申立者が著作権者、あるいはその代理人である事が確認できる資料/権利侵害を確認可能な方法/著作権等の保護期間が経過していることを窺わせる事情が存在する場合は、保護期間内である事を裏付ける証拠/申立者が発信者に対して権利許諾をしていない旨の記述/送信防止措置を希望する意思表示/発信者への氏名開示の可否/申立内容の公開の可否

 それならそれで、はてなが用意しているフォームにそれらを全部記載するのは大変です。といいますか、ファイルを送信するオプションが用意されていないフォームで、「申立者が著作権者、あるいはその代理人である事が確認できる資料」を同送付せよというのでしょうか。

 そして、はてなは、この「お問い合わせ」についての営業時間を土日休日を除く「10:00〜19:00」と設定しています。しかし、被害者の住所・氏名等を明示しての犯罪勧誘等が書き込まれる危険があることを考えると、休日にも対応できる体制を整えておかないというのはいかがなものかと思います。

 といろいろいいましたが、はてなは、日本のCGM系サービスの中ではかなりまともな部類です。

 例えば、NTTレゾナントが運営するGooについては、
トップページ→最下段の「お問い合わせ」→「お問い合わせ」で、汎用的な問い合わせフォームにようやくたどり着きます。

 しかし、このフォームページにリンクされた「お問い合わせ」の説明は、

上記以外のお問い合わせ

各サービスの使い方等に関するお問い合わせ、ご意見などはこちらからお送りください。


というものであって、権利侵害情報の削除要求を行うための窓口だとはなかなか気付きにくいものです。といいますか、NTTレゾナントは、「よくある質問/お問い合わせ」の中に、Gooブログ等で権利侵害情報が掲載されているときの対処方法の説明を加えていない点で、はてなよりぐっと劣ります。

 さらに、お電話でNTTレゾナントにお問い合わせをしたところ(電話番号にしても、ウェブ上には一切掲載されておらず、「goo.ne.jp」をwhoisデータベースで検索し、さらに「技術担当者情報」をクリックすることでようやくたどり着くことができるという体たらくです。しかも、音声案内に従って、Goo部門担当につなごうとすると電話を切られてしまうのです。)、公的な身分証明書の写しを郵送してこなければ一切の削除には応じないとのことでした(住所、氏名を明示して、「こいつをみんなでレイプしてやろうぜ」みたいな書き込みがあった場合でも、被害者から公的な身分証明書の写しが送られてこない限り、被害者本人が削除を望んでいるのか分からないので、削除には応じられないとのことでした。)。

24/12/2009

お気楽な学問

自分と基本的な立場の異なる人が関与したというだけで本を読まずにブックオフに売り払ったり、自分に対し批判的な見解はブロックして目にしないようにしていると公言してもなお大学の教員でいられる「経済学」ってお気楽な分野だなと最近とみにそう思います。

研究者の給与が世間並みで、どんな困ることが?

 前回のエントリーに対し、「前提に疑問」さんという方(どこまでが氏で、どこからが名なのでしょうか、)方から、次のようなコメントを頂きました。

補助金が全部教員の給料に消えているという前提からしておかしいでしょう。平均年収の数値も随分高いように思えます。また、国の根幹を成す教育と研究を担う機関の給与が世間並み以下では色々まずいことになるでしょう。そうでなくても企業から大学に転職した人はおおむね年収がボーナス分がまるまる減るというのが相場のようですから。

 補助金が削減された分、教員の給与を削減すれば、そのほかの部分には影響を生じないのだから、そういう意味では、「補助金が全部教員の給料に消えている」と見ることも可能でしょう。

 また、「国の根幹を成す教育と研究を担う機関の給与が世間並み以下では色々まずいことになるでしょう。」との点については、どんなまずいことが生ずるのか具体的にいっていただかないと理解不可能です。「世間並みの給与しかもらえないのであれば、教員などやめて、チェーンのラーメン屋を起業してやるぜ」みたいな研究者ってほとんどいないのではないかと思うのです。研究と教育を生業としつつ、世間並みの給料がもらえる(しかも印税収入や講演収入等の副収入を得ることも可能)ということであれば、なお、研究者になろうというインセンティブはいささかも損なわれないのではないかと思われます。

 そして、研究者たちが司法改革関連でさんざん「弁護士が食えなくなろうと知ったことではない」と繰り返してきたように「研究者が食えなくなろうと知ったことではない」とまで言っているわけではないのです。補助金がなくとも世間並みの給与をもらえているのに、さらに教員一人あたり年間約350万円も公金を費やして優雅な生活を保障してあげる必要はないと言っているに過ぎないのです。

 なにせ、私はまだ八田達夫先生のミクロ経済学を読んでいませんので。

23/12/2009

税金で350万円も年収を嵩上げしてあげる必要はあるのか

 前回のエントリーに対し、安暖輝雄さんという方から、次のようなコメントを頂きました。

大学への補助金を削っては絶対にいけません。

工学部など理系の教員、学生は、寝る間も惜しんで研究しています。

介護への補助金は増やしても。

 しかし、これって「大学への補助金を削ってはいけない」理由には何もなっていないような気がします。経済学者たちから糾弾され、「もっと貧しくなれ」と求められている職業従事者の多くは非常にハードワークをこなしていますが、公的資金でこれほどの年収の嵩上げをしてもらえていません。

 現在、大学教授の平均年収が約1100万円、准教授の平均年収が約900万円ですから、教員一人あたりの補助金約350万円をここから差し引いても教授で平均750万円、准教授で平均550万円くらいになります。大学の教員は著書の印税や講演料、意見書の作成料等の副収入を得ることが可能であることを考えると、税金で約350万円上乗せする必要があるのだろうかという疑問を禁じ得ません。補助金なんかなくったって、学者たちが上から目線で「規制に守られていて怪しからん!」と糾弾される職業に従事している人々よりよくよく多く貰っているように思われます(経済学者から規制の上にあぐらを掻いていると糾弾されて無謀な規制緩和を強いられたタクシー業界は、平均年収約300万円です。)。

 むしろ、競争こそがサービスの質を高めるという学者たちの論理を敷衍するのであれば、研究者の基本給を引き下げた方が、より質の高い著書等を書き、より役に立つ講演を行おうというインセンティブに繋がるのではないかという気がします。学術書は市場では売れないが社会の発展にとっては必要だから国がお金を出すべきだということであれば、各領域ごとに一定の公的資金を供給し、一定期間に公刊された学術論文のうちトップ20にはいると同業者間の投票で選出されたものの著者に賞金を支払うという方式を採用しても良いようには思います。週刊誌等にコラムを書く程度でろくな学術論文を書かない研究者にまで補助金で高給を保証する必要はありません。

 まあ、いまだ八田達夫先生のミクロ経済学の教科書を読んでいないから、大学の教員は一般人とは異なる論理で高給を保証してあげなければいけないということを理解できないのだと、経済学者からは糾弾されてしまうのかもしれませんが。

補助金漬けの産業

 そのサービスの提供を受けるべき人がそのサービスのために支出できる金額と、そのサービスを提供する側がそのためのコストを賄うために得なければならない価格にギャップがあるという意味では、大学教育サービスと介護サービスとの間に本質的な差はありません。大学の専任教員が介護サービスの担い手と異なり優雅な生活を味わえるのは、国からの補助金のおかげに他なりません。

 私立学校振興助成法に基づく私立大学への補助金は、平成20年度で約3200億円です。平成20年度の大学の教員数は講師、助教、助手をひっくるめて、約9万7000人です。従って、教員一人あたり約340万円程度の補助金を国は大学の教員につぎ込んでいるということになります。

 介護ビジネスだって、一人あたり340万円もの補助金が設定されれば、もう少し担い手が増えるような気がします。

22/12/2009

地獄への道

 「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉は、善意のかけらもない、民衆へのシンパシーを持ち得ない、強者の太鼓持ちしかできない自分を何とか正当化せんがために用いられることが多いように感じられます。

 別に、天国への道が悪意で舗装されているわけではなく、悪意で舗装されている道は大抵地獄に繋がっているように思うのですが。

21/12/2009

なぜ経済学が役に立たないのか

 池田信夫さんの「成長戦略の考え方」というエントリーを読むと、なぜ経済学が役に立たないのかわかるような気がします。

これは成長戦略としては間違いである。前にも書いたように需要か供給かという問題の立て方がおかしいのだが、しいて立てるとすれば、需要不足は短期には問題だが、成長戦略は定義によって長期の問題である。よく知られているソローの新古典派成長理論のもっとも単純な形では、次のような生産関数で所得Yをあらわす:


Y=F(K,L)


ここでKは資本、Lは労働、Fは生産関数である。成長理論にはいろいろなモデルがあるが、需要はどこにも入らない。長期の定常状態においては完全雇用と設備の完全利用を想定するので、需要不足は問題にならないからだ。「供給が過剰で失業が多いデフレ状況」を考えるのは短期の景気対策の問題である。

と池田さんは述べていますが、「完全雇用と設備の完全利用」が長期の定常状態において実現するという想定自体が現実離れをしていますから、そこから先の論理もまた現実離れしたものとなっていきます。そのような現実離れした理論なんて、少なくとも与党の政治家は相手にしていられません。

 だって、実際には、生産により獲得される所得Yは、需要者がその生産物に対して支払う対価の総額に依存しているのですから。生産するだけでは所得は生じないのですから。従って、需要不足に陥れば、Yが減少し、KまたはL若しくはその双方が減少するのです。

12/12/2009

アマゾンの時間感覚

 どうも、アマゾンとは時間の感覚が合わないようです。

 これを見ると、2011年11月11日発売予定の「Patents for Chemical Scientists and Engineers」までは、アマゾン社にとっては、「近日発売」の範疇にはいるようです。

 2年後ってことは、まだ初稿原稿すらあがっていないということではないかと思うのですが。

Amazon_4

弁護士バー

 最近話題の「弁護士バー」について言及すると、弁護士法72条の周旋禁止規定により回避しようとしてきた「弁護士以外の者による弁護士業務の支配」が行われるのではないかという危惧を弁護士会は抱いたのではないかという気がします。そういう意味では、外岡弁護士による単独経営としなかったことが却って徒になったのではないか、というのが正直な感想です。弁護士会は非弁提携に対しては結構神経質です。「弁護士会館内にスターバックスが開店して、そこで法律相談を行ったり事件を受任したりといったことが行われる」というのとは本質的に違うように思われます。

 私自身は、弁護士以外の者による周旋禁止規定の廃止論者なのですが(正しい情報をもとに、事件の内容等に合わせた弁護士を紹介するサービスはあっていいと思いますので)、ある種の闇勢力の浸透を回避するために周旋業者への弁護士会の監督は認めた方が良いのではないかとも他方で考えますので、「共同経営者」について弁護士会の監督が及ばない今回の「弁護士バー」はやり方を間違えたのではないかという気がします。

09/12/2009

日弁連の会長選挙で争点にしてほしいこと

 来年早々には日弁連の会長選挙があるわけですが、この数年日弁連の会長選挙って司法改革路線に賛成か反対かばかりで、意味のある争点ってずっと提示されてきませんでした。

 その間、IT革命は着々と進んでいったのに、その波は弁護士業務にはさして波及せずという現状に我々は甘んじてきたわけです。

 ここら辺で、2年間は司法改革路線云々という実りの乏しい話はやめて、IT化で省力化できるところはないかの洗い出しをした上で、必要とあれば裁判所や法務省とも協議をした上で、ITを活用した業務の効率化を目指すことを主要な公約とする会長候補は出てこないものかなあと思ったりもします。

 例えば、主張書面や書証の写しは原則PDFで送信するという運用にしてしまえば、「訴訟記録は電子媒体で管理する派」にとっては圧倒的に便利だし(紙の文書をスキャンして作成したPDFファイルでは、中の文字列で検索できませんが、文書データから直接作成されたPDFファイルであれば、内容検索の対象となります。)。

 また、弁論準備だって、チャットでできるようにしてしまえばわざわざ裁判所に行く必要はないし、書記官が立ち会わなくとも記録は残るしで、いいことずくめです(裁判公開原則を形式的に維持するためには、傍聴希望者は、裁判官のチャット画面を覗けるようにしておけば済むはずです。)。

賃金を労働生産性に見合う水準まで引き上げないといけないのでは?

 池田信夫さんが相変わらず次のようなことを述べています。

グローバル化による相対価格の変化は、90年代から続いている現象だ。日本の1/10の賃金で働く中国の労働者が生産すれば、衣類のような労働集約的な製品の価格が1/10になるのは当たり前である。その対策も長期的には、賃金を労働生産性に見合う水準まで下げるしかない。それには労働市場の改革によって人材を再配分する必要がある。

 常識的に考えれば、賃金水準が下がれば需要の原資が減少するので、更にデフレが進行するでしょう。さらに労働者の賃金引き下げでは対応できないほどに需要の原資が減少してしまった場合(原材料やエネルギーの多くを輸入に頼っている我が国では、それらの国際取引価格によって、物価が下方硬直します。)、消費量自体を減少させなければならなくなります(簡単に言うと、下々は飢えるということです。)。

 そもそも論をいえば、日本の労働者は、総体的に見れば(もちろん、個別的に見れば、一流ではない経済学系の大学院の教員のように、顧客に与える付加価値に見合わない高禄をはんでいる人はいると思いますが。)、労働生産性に見合う水準まで賃金をもらっていないからこそ、日本企業は巨額の外貨を手に、何度もマネーゲームを繰り返すことができたわけです(そして、日本企業の多くは、マネーゲームに失敗することによって、労働者が創出した富の多くを、主として外国企業にくれてやったわけです。)。

 池田さんの提言に政府が従うときは、日本の労働者が生み出した富が更に、主として米国に流出することでしょう。

 そういえば、池田さんは「みんなの党」を高く評価していたのでしたっけ。

別の可能性を考える想像力

 この朝日新聞社のアンケート調査の結果を見る限り、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止が実現した場合、海外の生産移転で対応すると答えた企業は正社員を採用すると答えた企業より少ないようです。

 ところで、同僚の田中秀臣先生が「偏差値40から良い会社に入る方法」を模索しているのに、従業員にとって「良い会社」自体をなくしてしまおうとしているように見える池田信夫さんは、製造業派遣を原則禁止する法案を通常国会に提出すると表明した長妻厚労相について、

長妻氏がこういう事実を無視している原因として、次の3つが考えられます:


1.規制によって非正社員が正社員になると本気で思っている

2.社民党や連合との関係で政治的に発言している

3.厚労省の官僚がミスリードしている

述べていますが、もう少しきちんと考えた方がよいのではないかという気もします。

 普通に考えれば、「派遣よりはまだ、ピンハネがない分、契約社員の方がよいと考えている」という可能性に思いを馳せられそうな気がします。また、派遣よりは契約社員の方が、契約途中で契約を打ち切られたときに対抗のしようがあるので、「まだまし」度が高いですし。

匿名至上主義者にお似合いなのはソマリア

 企業法務マンサバイバルというブログに次のようなことが書かれています。

このネット上の匿名・実名論争は何度も繰り返されていますが、あなたがこの議論に終止符を打ちたいのであれば、質問をこう置き換えて自問自答してみることをおすすめします。

「明日からあなたが住む国に、リアルでの匿名活動を一切認めないという規制ができるとしたら、あなたはこの国で暮らしていこうと思いますか?」

私はもはやネットはリアルそのものだと思っているので、ネット上での匿名規制ができることは憲法上の自由を失うことに等しいと考えます。

あなたが「ネット上の匿名活動は規制すべきである」と声高に主張される際は、「自分自身のリアルにおける匿名活動の自由を捨ててもかまわない」という覚悟と勇気の持ち主であるかどうか、胸に手を当てて考えてからの方がいいでしょう。

 私は、むしろ、質問をこのように置き換えて自問自答してみることをお勧めします。

明日からあなたが住む国に、司法権に服するか服しないかを個々人が自由に選択することができるという法制度が採用され、長きにわたりリアルでの違法行為、犯罪行為の被害にあっても、加害者が「司法権に服しない」という選択をしていた場合には、民事及び刑事的な救済を受けることができず、ひたすら泣き寝入りするしかないということになったとしたら、あなたはこの国で暮らしていこうと思いますか

 私ももはやネットはリアルそのものだと思っているので、ネット上での匿名規制を行わないことは憲法上の司法的救済を受ける権利を失うことに等しいと考えます。

 リアルの世界でも無政府状態がお望みの方だけ、「ネット上の匿名活動は規制されるべきではない」と声高に叫んでいたらいいのではないでしょうか。

07/12/2009

現実主義者であるとの誤信

 政府や裁判所が人道主義的立場から「邪魔」をしなければ日本が発展途上国と労働者の賃金の引き下げ競争を行い得ると考えている人々が自分たちのことを現実主義者であると誤信できるほどに日本の経済学というのは低レベルなのかとウェブだけを見ていると勘違いしてしまいかねないというのは、日本の経済学にとっても不幸なことではないかという気がしてなりません。

 多くの人々を不安定かつ低賃金の労働に従事させることが唯一の希望であって、それが法的に規制されるようなら希望を捨てざるを得ないという声が特定の場所に吸い込まれていくサイバーカスケーディングな日本のウェブ環境って、結構ブラックっぽいように思えてしまいます。

03/12/2009

HAKIMAKLIシーズンに異論

 今年も,HAKIMAKLIのシーズンがやってきましたね。

 ところで,城繁幸さんが次のようなことを言っています。

人生と時給という観点から見れば、飲み会の意味合いも大きく変わってくる。

村民からすれば村の行事に出て親交を深めておくことはそれなりのメリットがあるが、
真っ先に雇用調整されることが確定している季節労働者にとっては、そんなものは
文字通りの時間のムダである。

 むしろ,逆です。解雇規制によって恣意的な解雇から法的に守られている正社員は正規の業務以外のことに時間を使う必要がありませんが(出世を望まなければ,ですが。),そうでない場合には,積極的に人的関係を密接に保っておくことが必要となります。普通に考えても,飲み会等をあっさり断ってばかりいて仕事の場でしか上司と接点を持とうとしない従業員と,そういう場にはしっかり参加して上司と接点を持とうとする従業員と,どちらかを解雇しなければならないがどちらを解雇するかはその上司の裁量に委ねられている場合,相当の実力差がない限り前者を解雇しようとするだろうということは想像に難くありません。

 実際のところ,社内での飲み会だのパーティだのは,終身雇用制度を前提としない欧米系企業の方が盛んであることはご存じの通りです(参考)。多国籍企業に至っては,定期的に全世界に散らばる支社から人を集めて合宿&パーティをやることだって珍しくなかったりします。

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