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23/12/2009

税金で350万円も年収を嵩上げしてあげる必要はあるのか

 前回のエントリーに対し、安暖輝雄さんという方から、次のようなコメントを頂きました。

大学への補助金を削っては絶対にいけません。

工学部など理系の教員、学生は、寝る間も惜しんで研究しています。

介護への補助金は増やしても。

 しかし、これって「大学への補助金を削ってはいけない」理由には何もなっていないような気がします。経済学者たちから糾弾され、「もっと貧しくなれ」と求められている職業従事者の多くは非常にハードワークをこなしていますが、公的資金でこれほどの年収の嵩上げをしてもらえていません。

 現在、大学教授の平均年収が約1100万円、准教授の平均年収が約900万円ですから、教員一人あたりの補助金約350万円をここから差し引いても教授で平均750万円、准教授で平均550万円くらいになります。大学の教員は著書の印税や講演料、意見書の作成料等の副収入を得ることが可能であることを考えると、税金で約350万円上乗せする必要があるのだろうかという疑問を禁じ得ません。補助金なんかなくったって、学者たちが上から目線で「規制に守られていて怪しからん!」と糾弾される職業に従事している人々よりよくよく多く貰っているように思われます(経済学者から規制の上にあぐらを掻いていると糾弾されて無謀な規制緩和を強いられたタクシー業界は、平均年収約300万円です。)。

 むしろ、競争こそがサービスの質を高めるという学者たちの論理を敷衍するのであれば、研究者の基本給を引き下げた方が、より質の高い著書等を書き、より役に立つ講演を行おうというインセンティブに繋がるのではないかという気がします。学術書は市場では売れないが社会の発展にとっては必要だから国がお金を出すべきだということであれば、各領域ごとに一定の公的資金を供給し、一定期間に公刊された学術論文のうちトップ20にはいると同業者間の投票で選出されたものの著者に賞金を支払うという方式を採用しても良いようには思います。週刊誌等にコラムを書く程度でろくな学術論文を書かない研究者にまで補助金で高給を保証する必要はありません。

 まあ、いまだ八田達夫先生のミクロ経済学の教科書を読んでいないから、大学の教員は一般人とは異なる論理で高給を保証してあげなければいけないということを理解できないのだと、経済学者からは糾弾されてしまうのかもしれませんが。

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