大学そのもののインフレ?
上武大学の池田教授が次のように述べています。
企業の人事担当者もこうした実態を知っているので、大学の偏差値を信用しなくなった。特に偏差値の低い大学の扱いは専門学校以下で、大学を卒業してから(大学院ではなく)専門学校へ行く学生が増えている。講義の内容も専門学校化し、特定の資格を取るための学科が増えている。一部の難関校を除いて大学そのものがインフレになっており、今や専門学校より役に立たない一般教養を教える機関にすぎない。
私のような法学系の人間には、池田教授のような経済学系の人の論理は理解できません。
「偏差値の低い大学の扱いは専門学校以下」という扱いを企業の人事担当者がしているのであれば、企業の人事担当者は未だ「大学の偏差値を信用」しているように私には思えます。「講義の内容も専門学校化し、特定の資格を取るための学科が増えている」のであれば、既に「役に立たない一般教養を教える機関」ではないように思えます。
「大学そのものがインフレになって」いるという言い回しに至っては何を言いたいかのか皆目見当がつきません。「インフレ」って価格高騰ってことではなかったのでしょうか。そうだとすると、「大学そのものがインフレになって」いるという言い回しは、「大学の価値がうなぎ登りに上がっている」ということを意味するように思われますが、それは全体の論旨には合致していないように見えます注。
さらにいうと、私のアルバイト先(中央大学法学部)では大学中に専門学校に通うダブルスクール族はそこそこいるようですが、大学卒業してから専門学校に行く学生の話は今のところ聞いたことがありません。もちろん、中央大学法学部はそこそこ偏差値の高い大学なので、ここで兼任講師をしているだけでは「偏差値の低い大学」の学生がどうなっているのかわからないのですが。
大学入試時に偏差値が低かった学生が、大学入学後も、論理的な思考が不得手な教員に教わっていたのでは、卒業後に専門学校に通わないとどうにも使えないということになる可能性はあるのですが、どうにも私には感覚的に理解できない世界です。
注:この点については、「学歴インフレ」という用法は一部でなされているようですが。でも、経済学者が用いるべき言葉ではないように思います。
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