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03/02/2010

労働者の年齢層を入れ替えるための解雇

 一部の新自由主義者系のブログのコメント欄に生息している人々の中には、解雇規制が撤廃されれば、中高年層が解雇されて、就職氷河期層がこれに置き換わることができると信じてやまないようです。

 しかし、人件費削減のために労働者を「置き換える」ための解雇というのは、米国でも、労働組合が組織されている企業では認められていなかったりします。多くの労働協約において、"Last in, first out."の原則が採用されているし、「仕事量が週32時間未満に減り、その状態が4週間以上続くとき、はじめて経営は解雇できる」ことが労働協約によって労使の合意事項となっている場合が多いとのことですし(だから、リストラした後、残った従業員にさらなるサービス残業を強いるなどという日本的運用をしたら、弁護士が労働者の側ににこにこしながらすり寄ってきそうですし、中高年層を大量解雇した後でより若い労働者を大量に雇用した場合も弁護士が労働者の側ににこにこしながらすり寄ってきそうです。)。そもそも年齢を理由に解雇したら、雇用における年齢差別法に抵触しそうです。

 米国法においても、解雇規制に関する制定法や判例法理はそれなりにあり(しかも州ごとに違う。)、かつ、判例法理については、日本の解雇権濫用法理と同等かそれ以上にその適否の境界は曖昧なのですが、日米で1つ大きな違いは、米国では「違法な解雇」をしてしまった場合、企業は巨額の賠償金(平均で約6000万円)の支払いを余儀なくされる点です。ですから、多くの米国企業は、経営不振等により事業を縮小する必要がある場合には、希望退職を募ったり、先任原則に則ったレイオフを行っているわけです。

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