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18/02/2010

叱られてしまったようです

 弁護士会館での法律相談を含む、いくつかの法律相談では、相談者の希望により、その相談を受けた弁護士が直接その事件を受任することができる制度があります。これを「直受制度」といいます。私が担当している、葛飾区民法律相談は、直受制度のある法律相談の1つです。

 東京弁護士会では、会員たる弁護士は、事件を直受するにあたっては、弁護士会の法律相談センター内の報酬審査担当弁護士による報酬審査を受ける必要があります。相談者と相談担当弁護士との間で着手金・報酬額について合意ができたとしても、その金額が審査担当弁護士のお気に召さなければ、審査担当弁護士のお気に召す金額にまで着手金・報酬額を引き下げるかまたはその事件の受任を断念することが相談担当弁護士に求められます。東京弁護士会以外の直受審査は概ね旧報酬基準を大きく超えるような取り決めがなされていないかをチェックするに留まると聞いていますが、東京弁護士会の直受審査は、旧報酬基準の枠内にあっても、審査担当弁護士がお気に召さなければ、条件変更を命じてくるところに特徴があります(建前上は「勧告」ですが、従わないことが許されていませんので、実質的には命令です。)。しかも、ご丁寧に、相談担当者がいる目の前で、相談者に対し、相談担当者が提示した条件は不当に高いのだという説明をしてくれる審査担当弁護士もいるというのが実情です(少なくとも、私は、旧報酬基準内の着手金・報酬で、それをやられたことがあります。)。

 弁護士会の報酬審査担当から条件変更命令が出てしまうと、この命令に応じて条件を変更した上でその事件を引き受けたとしても、不当な報酬を請求してきた弁護士との烙印を弁護士会の役員に押された状態で事件を受任することになりますから、依頼者との信頼関係が築きにくくなります。だから、相談担当弁護士にとっては、どのような場合に条件変更命令が出されうるかが明確であることが望ましいと言えます。逆に、報酬審査担当弁護士からすれば、その基準が不明確で、自分に裁量の余地がある方が、適宜濫用できるので望ましいと言えます(以前、見ず知らずの弁護士からメールで、ある法制度について米国での運用状況がどうなっているかの報告を求められたことがあり、私は米国のことはよく知らないし、わざわざ調査に行くいわれもないので、放置していたところ、たまたま私が報酬審査申請をしたときの審査担当がその弁護士で、不可解な是正勧告を受けたことがあります。)。

 先日、以前の相談者から、遺産分割手続きをとってほしいと頼まれ、で話を伺うと、相続財産である預金について残高がいくらあるのか全然教えてもらえないということだったので、ではまず弁護士会照会手続きを用いて被相続人死亡時の預金残高を確認しましょうということになりました。で、また報酬審査で条件変更命令が出されると面倒なので、まず、事務員さんに弁護士会の法律相談センターに電話してもらい、このような場合、請求できる手数料または報酬の上限はいくらなのかを聞いてもらうことにしました。すると、いろいろとたらい回しにされたあげく、私が、その日の報酬審査を担当する弁護士と電話で話をすることになりました。

 その弁護士によれば、上記のような場合については基準がないとのことでした。では、基準より高いとして条件変更を命じられることはないのかと尋ねたら、そんなことはないとのことでした。しかし、基準はないけれども、審査担当の気分次第で条件変更を命じられるようでは困るという話をしたところ、相談者との間で具体的な金額を記入した受任契約書を作成してからでないと報酬審査には応じられない。その結果条件変更を命じられたとしても、きちんと説明をすれば信頼関係を築けなくなるということはあり得ない。相談者との間で受任契約書を締結する前に条件変更を命じられない基準を教えてほしいなどと言うのはおまえの我が儘だと罵られたあげく、電話を切られてしまいました。

 相続関係で正式に事件を受任する前に相続財産たる預貯金の残額を弁護士会照会手続きを用いて調査するということはある意味基本中の基本であり、その結果判明した相続財産の額を見た上で正式に事件処理を弁護士に依頼するかどうかをご本人に判断してもらうというのは特にイレギュラーな運用ではありません。そして、上記のような弁護士会照会手続きはある程度定型的な仕事なので、相談担当弁護士によって、あるいは審査担当弁護士によって、請求して良い報酬の上限が異なるというのはおかしな話です。ですから、上記のような弁護士照会手続きを用いた相続財産調査に係る手数料・報酬額の上限について具体的な基準が定められていなかった場合、早急に審査部会に諮るなりして一応の基準を決めて伝達すれば良い話です。別に、そういう運用が禁止されているわけではないのですから。

 でも、審査担当弁護士の目には、相談担当弁護士がそのようなクレームを審査担当弁護士に付けるのはおこがましいと映ったようです。

今日は弁護士会の法律相談センターで審査員をやって来ました。他の弁護士が法外な報酬を取っていないかチェックする役です。若い弁護士が「事前に審査して欲しい。後からぼったくりと言われたら困る」と。私は事前審査はないと説明しましたが、しつこいので我身言うなと叱ってしまいました。やれやれ。

などとつぶやかれてしまっています。「叱る」というのは上位に位置する者が下位に位置する者に対して行うものですので、審査担当弁護士であられる大竹夏夫弁護士(Googleでの検索結果にリンクを張ろうかとも思いましたが、躊躇しました。)は、相談担当弁護士は、自分が叱って構わない下位の存在だと思っておられるように思われます。

 ただ、ここで引いているようでは弁護士ではないので、大竹弁護士から叱られた後、法律相談センターにクレームを付けたところ、書面で質問書を送ってほしい、審査部会長に尋ねてみるとの回答を得ました。それで早速、このような場合の手数料・報酬の上限はどうなっているのかを尋ねる質問書を作成し、相談センターにFAXで送付しました。

 すると、その翌日、法律相談センターから電話があり、一般の会員に配っている冊子には付いていない「別表」に、その件に関する基準が明記されているということで、その基準を教えてもらうことができました。

 報酬審査担当弁護士はその別表を見ることができる立場にいたはずなのに、なぜ大竹弁護士はそれに基づいた基準を教えてくれるのではなく、私をしかりつけた上で「やれやれ」だなんて偉そうにつぶやいているのか不思議でなりません。

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