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mars 2010

26/03/2010

再チャレンジの機会はそれなりにある。

 ダイヤモンド社の論説委員である辻広雅文さんが次のように書いています。

 大企業における“長期雇用保障”とは、その地位が保全されていて容易には解雇されないということである。つまり、新卒でいったん就職してしまえば定年または定年近くまでの数十年間、失職することなく安泰ということである。

 これをひっくり返して考えれば、新卒で就職できなければ、その後に大企業に職を得ることは極めて難しいということになる。なぜか。もはや、高度成長期はとうに過ぎた。低成長時代にいずれの企業も雇用を大幅に拡大することなどありえない。だとすれば、新卒で――もちろん中途採用の機会もあるだろうが――就職した人々の雇用が定年まで保全されていることが、外部者にとっては堅固な障壁になってしまうからだ。つまり、ひとたび非正社員や中小企業勤めで社会人をスタートした人は、再チャレンジの機会がほぼ訪れない。


 もはや経済学者と見間違うばかりのずさんな論理です。

 まず、「容易に解雇されない」からといってその会社に居続けるとは限らないのです。平時においても、故郷に帰ったり、独立したり、より条件の良い会社に転職したり、ということで、相当数の正社員が会社を退職します。また、経営状態が悪化した際には、希望退職を募ったり、あるいはそれでも足りずに整理解雇に踏み切ったりします。

 それ故、大企業においても、必要に応じて中途採用をして必要な人員を補充します。そうなると、特に中小企業勤めで社会人をスタートした人にとってはキャリアアップのチャンスです。中途採用枠においては、0から研修を行う気が企業にないので、必要とする職種、必要とするセクションでの業務経験がある人材を優先的に採用しようとする経験が高く、その場合前職の企業規模はさほど注目されないからです。

 また、日本の経済を総体としてみれば低成長時代に入っているとはいえ、個々的には成長著しい企業というのは少なからずあります。そこでは当然のことながら成長に応じた人材が必要となりますし、そこで必要とされている人材は0から研修を行う必要がない経験者です。

 まあ、こんなことは辻広さんは重々承知していると思うのです。何たって出版社は、経験者の中途採用が普通に行われている業界なのですから。他の業界と同じく、解雇規制の適用は受けているわけですけど。

23/03/2010

中高年は逃げ切ったのか。

 城繁幸さんが次のように述べています。

賃金カーブの低下を指して「中高年も賃下げされている」と屁理屈を述べる労働組合関係者がたまにいるが、中高年は賃下げされたのではなく逃げ切ったというのが正しい。90年頃、「若い間は辛抱辛抱」と言い聞かせて頑張った元若者は、20年近く経って、かつての上司・先輩より3割以上も給料が安い結果に終わったということだ。

 果たしてそうでしょうか。

 賃金センサスの平成10年版と平成20年版を比べてみましょう。

 全ての性別・学歴を総合した30〜34歳の賃金労働者の平均年収は、平成10年度は約492万円、平成20年は約446万円ということで、確かに下がってはいますが、その下落幅は約9パーセントです。大卒男子(ただし、平成20年度の賃金センサスでは「大卒・大学院卒」と一括して表示されています。以下同じ。)に限定しても、平成10年度は約599万だったのが約551万円ということで、確かに下がっていますが、その下落幅は約7パーセントです。

 では、中高年は逃げ切ったのかを見てみましょう。大卒男子50〜54歳の平均賃金は平成10年度が1011万円だったのが平成20年度は約867万円ということで、その下落幅は、約14パーセントです。大卒男子55〜59歳の平均賃金は、平成10年度が約1012万円だったのが平成20年度は約844万円ということで、その下落幅は約17パーセントです。大卒男子60〜64歳の平均賃金は、平成10年度が約708万円だったのが平成20年度は約638万円ということで、その下落幅は約10パーセントです。

 城さんのエントリーからリンクされている東京新聞の記事に掲載されているグラフを見ても、1989〜90年の数値と、2007〜08年の数値との差がもっとも開いているのは、40代後半から50代前半に掛けてなのですから、どこをどう見たら、「中高年は逃げ切った」という結論を導けるのかは不明です。

21/03/2010

電子書籍の普及に向けた官民共同の懇談会

 総務、文部科学、経済産業の3省は3月17日に、都内で電子書籍の普及に向けた官民共同の懇談会の初会合を開いたとのことです。

 そこでは、

電子書籍の形式は各メーカーが定めており、共通のルール、規格がない。端末ごとに読める書籍が限定されるほか、「資本力で勝るメーカーに規格決定の主導権を握られると、出版関連業界は中抜きにされる恐れがある」(総務省幹部)との指摘がある。出版物の管理コードにあたる「書誌データ」も統一規格がなく、一連の基礎的な環境整備が検討課題になる。

ということがテーマになったようです。規格決定の主導権を誰が握ろうとも出版関連業界が中抜きにされることは避けがたいと思いますが、その点を除けば、特に目の敵にされるような話ではないように思います。

 楠さんは電子書籍の相互運用性は原則として民民で市場を通じて勝負をつければいいのであって、フォーマット共通化で役所が前に出て何ができるのか。おっしゃるけど、米国で事実上デファクト・スタンダードしつつあるePubを、漢字、縦書き、ルビ等の日本語仕様に対応するePub2.0へとバージョンアップさせるためには、日本国内の1企業が旗を振ったって始まらないし、まして国内で複数の企業がばらばらの要求事項をIDPFに要求しても始まらないので、政府主導で要求事項を取りまとめるということは相応の意味があるように思います。どうせなら、中国、韓国、台湾とも共闘を組んだ方が、ePub2.0へのバージョンアップをしようと考えるインセンティブを強化するのではないかとも思いますが(この4カ国が集まると、市場規模が大きいので。)。

 青木理音さんは、

日本だけでしか流通しない独自規格を官民で整備したとして、それが誰にメリットになるのだろう。Amazon, Apple, Googleなど先進的な企業が競争した結果生き残る規格に日本発の規格が競争できる訳はないので、国外展開は絶望的だ。当然、電子書籍の流通やリーダーなどに関しても取り残されるだろう。消費者にとっても海外で使われている優れた規格が日本では利用できないという結果になりはしないだろうか。

述べているのですが、「Amazon, Apple, Googleなど先進的な企業が競争した結果生き残る規格」をそのまま利用するだけだと、日本語書籍としての表現可能性が相当損なわれてしまいますので、却って書籍の電子化が進まなくなりそうな気がします。「馴れの問題ではないか」というご意見もおありかもしれないけれども、分野によっては縦書きでないとうまく表現できないこともしばしばあるし(例えば、漢文を引用する必要がある場合)、経済効率性のみで割り切るわけにもいかないのだろうなあと思ってしまうのです。

18/03/2010

Scared

 池田信夫さんは、「弁護士が多いほど競争によってサービスの質も上がる。」と述べています

 いかにも俗流経済学者が言いそうな話ですが、実は実証された話ではありません。また、論理的にいっても、「弁護士の仕事は依頼者との情報格差が大きいため、依頼者が仕事を評価することは困難」である以上、サービスの質を高めることは競争に勝ち残るためのポイントとはならないからです。

 そして、競争を必要以上に厳しくすることで、その職業に就くことのコストパフォーマンスを悪化させると、新規にその分野に参入する人材の質は通常悪化します。特に、その分野に参入するためには相当長期にわたる職業訓練を受けなければならない職種では、この傾向は高まります。もちろん、「ローリスク・ミドルリターン」から「ハイリスク・ハイリターン」へ転換するにとどまるのであれば、コストパフォーマンスの質が変化するにとどまりますから、山っ気のある秀才が集まってくる可能性があります。ただ、懲罰的損害賠償制度のように一攫千金がもらえる制度を導入すれば「ハイリスク・ハイリターン」への転換を果たすことができると言いうるものの、過払い金返還請求専業事務所による荒稼ぎすら許すことができない我が国の国民性のもとで、製造物責任や不当解雇等に関して懲罰的損害賠償制度を導入できるのだろうかというと、かなり悲観的です。

 昨今の法曹養成制度改革は、法科大学院制度を導入し、さらに修習貸与金を導入することにより、法曹資格を取得するまでのコストを増大させる一方、新規資格取得者の大幅増員により新規資格取得者の賃金水準を引き下げるということで、「ハイリスク・ローリターン」への転換を目指してきました。それがむしろサービスの質を低下させる危険を伴っていることを見据えることができない俗流経済学というのは、百害あって一理のない学問分野だなあとしみじみと考えてしまいます。

17/03/2010

経済学者の提言が現実社会に反映されるようになるとフグ毒死が増える。

 東京都ふぐの取扱い規制条例第10条第1項本文は、

ふぐ調理師以外の者は、ふぐの取扱いに従事してはならない。

と定めています。ただし、同条例第2条第2号は、

二 ふぐの取扱い 食品として食用のふぐを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売に供するために貯蔵し、処理し、加工し、若しくは調理することをいう。

という定義規定を置いていますから、少なくとも東京都内では、ふぐ調理師以外の者が、自ら食する目的でふぐを処理し、加工し、若しくは調理することは禁止されていないということになります。

 経済学という非現実的な学問分野では、本人が免許なしにできることを他人の代わりに行うのに免許が必要だというのは論理的におかしいということになるのだそうです。すなわち、経済学では、東京都がふぐの取扱い規制条例でふぐの調理、販売等を免許事業とするのはおかしいということになるようです。

 私は、無免許のものが次々とふぐの調理・販売に参入することによりふぐ価格が安くなることより、能力の低い事業者が淘汰されるきっかけに自分の死がなる事態をできるだけ避けて欲しいと思っています。経済学者さんには社会主義者だの市場原理を知らないだのと糾弾されてしまいそうですが、私は、ふぐを食べて死ぬのはまっぴらゴメンです。

12/03/2010

知恵を絞った結果が増員ペースの見直しなのだ

 朝日新聞も社説で日弁連会長選挙のことに触れているようです。

 日弁連の中での不満の高まりを受けて、宇都宮氏は合格者数を「1500人に減らす」と訴えた。改革を根幹から覆すような主張である。急激な増員がひずみをもたらした面はあるとしても、あまりにも内向きの論理だ。


 合格者増の目的が、弁護士需要に応えるという点にあるのであれば、意外と弁護士需要がなかったことが判明した現在、増員のペースを落とすことは、「改革を根幹から覆すような主張」にはあたりません。それとも、朝日新聞社には、別の目的があったのでしょうか。

 司法制度改革は経済界や労働団体、消費者団体など幅広い国民の要請をうけ、日弁連、法務省、最高裁の法曹3者で進めてきた経緯がある。弁護士会の都合だけで、大幅な見直しをすることはできない。

 もちろん、弁護士会は立法権を握っていないので、日弁連が何を言おうとも、弁護士会の都合だけでは、大幅な見直しはされません。ただし、司法制度を担う1セクターたる弁護士会が、司法制度改革のひずみを指摘して具体的な改善案を提唱し、他のセクターに働きかけることは何の問題もありません。

 増員ペースが速すぎるというなら、問題点を洗い出し改善策を示すのが筋だ。就職難をいうなら、法曹資格者の民間企業や官公庁などへの進出をどう促すか真剣に検討すべきだ。質の低下をいうなら、法科大学院をどう改革するかの議論を優先させることだ。日弁連だけでなく、法曹界や関係団体が一緒になって知恵を絞ってほしい。

 増員ペースが速すぎることの問題点の洗い出しは既に済んでおり、その改善策として、「増員ペースを落とす」という直接的かつ具体的な案が提示されています。それ以外に改善策があるというのであれば、朝日新聞社が具体的に提示したら良いように思います。

 「法曹資格者の民間企業や官公庁などへの進出をどう促すか」についても、弁護士会は真剣に検討していますが、当の企業の側が新規資格取得者など採用したくないといっています。弁護士会には、企業に新人を押しつける力はありません。

 また、法科大学院の改革の議論もし尽くしています。裁判所だって法務省だって手をこまねいてみていたわけではありません。でも、どうにもなりません。法科大学院制度が始まる当初は研究者の方々は自信に満ちあふれていたわけですが、所詮実質を伴わない空威張りに過ぎなかったのですから。

 市民が身近に弁護士に相談できる「法テラス」のコールセンターへの問い合わせ件数は08年度、約28万8千件にのぼった。起訴前の容疑者にも国選弁護人をつけるようになった。弁護士を必要とする人はたくさんいる。

 でも、お金を支払えない人からいくら必要とされても、それに応えていたら弁護士は生活ができません。朝日新聞社の従業員ほどの豪勢な生活は望まないにしても、屋根の下で起臥寝食したいですし、子どもがいれば、少なくとも高校くらいは進学させてやりたいのだろうと思います。

 いわゆる「即独」をされた弁護士の収支がここに現れています。漸く「売り上げ=経費」です。この方は、運転資金込みで最初に800万円を親御さんから借りることができたので何とかなっていますが、そのような豊かな親御さんを持たない新人は、むしろ、資格取得時に1000万円近い借金を背負い込んだ上でのスタートを強いられます。「このため若手のなかには仕事探しに苦労する弁護士が出てきた。」などという生やさしいものではありません。

 朝日新聞社が、「弁護士が食えなくなればハッピー。高給取りは大手マスメディアの従業員だけで十分」という邪な気持ちでなく司法制度改革を推進したいと考えているのであれば、このようなひずみを解消するために、彼らを資金援助する等積極的に支援していただきたいものです。

11/03/2010

ニュータイプは生まれない

 昨日の日弁連会長選挙を受けて、日経新聞が「内向きの日弁連では困る」という社説を公表しています。

 弁護士が地域にいない司法過疎の問題や、お金がない人の民事訴訟や刑事弁護を引き受ける弁護士が少ない問題などを解消してからでなければ、弁護士の増員反対の訴えは、国民の目には、高い収入を失いたくない特権的職業集団のエゴとしか映らないだろう。

とのことですが、司法改革問題になるとデマ満載の日経新聞らしさが良く現れています。

 宇都宮先生の公約は、司法試験合格者数を1500人とするというものですから、判事・検事に200人程度採用していただけるとして、1300人程度の新人弁護士が新たに生まれることになります。日弁連からの退会者(死亡者を含む。)は、毎月の「自由と正義」に掲載されますが、毎月100人以上退会しているとかそういう状態にはない(意識して数えていませんが、毎月10〜20名くらいでしょうか。)ので、宇都宮先生のプランでも、弁護士の人数は着実に増員されます。従って、宇都宮先生の訴えが「弁護士の増員反対の訴え」であるかのように摘示する上記社説の言い回しは、悪質なデマだということになります。

 日弁連の会員数は29000人弱ですから、1300人の新人会員というのは、全体の約4.5%にあたります。それだけの新人をなお引き受けますよというのが宇都宮案です。従業員数約3500人の日経新聞社において毎年約130人の新入社員を採用するのに匹敵します。「高い収入を失いたくない特権的職業集団」ではない日経新聞社におかれましては、是非とも大学新卒者を130人、いや260人採用していただけると、大学教員としてはうれしいです。

 また、「お金がない人の民事訴訟や刑事弁護を引き受ける弁護士が少ない問題などを解消してからでなければ」云々という点についてですが、これは、「弁護士を増員していけば、お金がない人の民事訴訟や刑事弁護を引き受ける弁護士が必要なだけ現れる」ということが経験則上成り立つということが前提となっています。しかし、どのような因果の流れを経由するとそのようになるのか私にはそのメカニズムが分かりません。

 日経新聞としては、スペースコロニー間の戦争が激化する中でアムロ・レイのような「ニュータイプ」が出現したのと同様に、弁護士数の大幅増員による弁護士間の競争が激化する中でリアルに霞を食べて生きることができる「ニュータイプ」が出現するだろうとお考えなのかもしれません。しかし、前者がアニメ上でのお話に過ぎないのと同様、後者もおとぎ話の世界です。世界的には、「お金がない人の民事支障や刑事弁護を引き受ける弁護士が少ない問題」の解消は、法律扶助予算を増大することによって行うのが通常です。日本の場合、法律扶助事件を引き受ける弁護士をいくら増やしても、法律扶助予算自身が途中で底をついてしまう体たらくです。とりあえず、3500人の日経新聞社社員が一人100万円ずつ法テラスに寄付していただければ、昨年開いた穴が解消できます。日経新聞社の平均年収は約1300万円ですから、年間100万円くらい寄付しても、なお高収入を維持できます。「「お金がない人の民事訴訟や刑事弁護を引き受ける弁護士が少ない問題」に心を痛めている日経新聞社におかれましては、これを解消するために、他力本願ではなく、積極的な寄与をしていただければ幸いです。

06/03/2010

スポーツ紙は情報の信ぴょう性など十分に確認する気はない

 J-CASTの「エリカ様「不都合なこと書くな」 受け入れて署名するマスコミあるのか」という記事によれば、沢尻エリカがマスメディアに突きつけた要求が不評のようです。「あるスポーツ紙のデスク」から「要求を飲んでいたら、広報・PRメディアになってしまいますからね。報道の自由を制限するもので、常識的には考えられません。」とまで言われている沢尻さんの要求内容を見てみましょう。

沢尻の情報や声明を伝える場合、わい曲や、誤解を招く事を避けること

 芸能人の情報や声明を伝える場合にわい曲や誤解を招く事を避けることをスポーツ紙に求めるのは「常識的には考えられません」ということのようです。スポーツ紙は、芸能人の情報や声明をわい曲してなんぼの世界ということなのでしょう。

情報を公開する前に、その信ぴょう性を十分確認し、根拠のない噂話は一切公開しないこと

 スポーツ紙としては、情報の信ぴょう性など十分に確認する気はない、根拠のない噂話でもガンガン載せていこうということですね。

一方的か屈辱的な表現や侮辱的表現を、沢尻やその家族(先祖・子孫や配偶者を含む)に使わず、彼らの名誉を棄損するようなコメントはしないこと。

 スポーツ紙としては、芸能人やその家族に屈辱的な表現や侮辱的表現を用いて当然であり、それをやめろというのは「報道の自由を制限するもので、常識的には考えられません。」ということのようです。

残りの3箇条は、プライバシーを許可なく公開しない、不明確あるいは有害な記事は訂正する、本人や家族の私生活を撮影したものを入手したり許可なく記事にしたりしない、だ。

とのことなので、(情報を公開する前に、その信ぴょう性を十分確認しなかったために)不正確な記事を掲載してしまったとしても、スポーツ紙にその訂正を求めるのは「報道の自由を制限するもので、常識的には考えられません。」とのことなのでしょう。

 ただ、これらのことって、名誉毀損罪を犯さないために最低限必要なことであって、それを「報道の自由を制限するもので、常識的には考えられません。」と言ってしまうこの「スポーツ紙のデスク」は、「名誉毀損罪を犯す気が満々だ」ということになりそうです。このデスクは、「だれが入れ知恵しているのか分かりません」と述べているようですが、この会社の内部規律には上記のような定めはないと思ってよいのでしょう。

特にスポイルされそうな人々に限定してみては?

 自民党の岩屋たけし衆議院議員が次のようにつぶやきました。

「自民党が徴兵制を検討!」なんていうニュースはガセだが、「徴用制」なら検討の価値はあるかも。つまり、一定期間を国家社会のために費やす仕組みを設けるという案だ。介護でも森林整備でも海外協力隊でもいい。現政権の政策は国民をいたずらにスポイルし、腑抜けにしてしまうような気がしている。

 親の代から政治家である岩屋議員にはわからないのかもしれないけれども、下々の子供は、できるだけ早く、自活できる水準の所得を得るようになる必要があるのです。少しくらい優しくしてもらったって腑抜けになってしまう余裕などないのです。

 もちろん、現在の政策のもとで、いたずらにスポイルされ、腑抜けになってしまう危険性の高い国民もいます。その典型は、親から高額の財産を譲り受けまたは相続する人たちです。一生懸命働かずして、普通の人が働いてもなかなか得ることができない財産が転がり落ちてくる。これではスポイルされ、腑抜けになってしまう危険があります。

 ですから、そういう国民をいたずらにスポイルすることがないよう、一定以上の財産につき贈与を受けまたは相続しようとする者に対して、まず、介護でも森林整備でも海外協力隊でもいいので、一定期間を国家社会のために費やす仕組みを設けるというところから初めていったらよいのではないでしょうか。

05/03/2010

反・「返還ビジネス」というジャーナリストのビジネス

 司法改革に関する提案の多くは、弁護士に対する嫉妬や憎悪に突き動かされたものであり、それゆえに社会により大きな歪みを生じさせることを躊躇しないものとなりがちです。

 そのような提案の一つが、伊藤博敏というジャーナリストによる「「過払い金」に続く「返還ビジネス」を模索する弁護士業界」という記事です。

 この記事の結論は、

 弁護士のための「返還ビジネス」の急増をこのまま許していいのか――そんな論議をすべき時にきている。

というものです。では、伊藤氏が急増を許すべきでないと考えている「弁護士のための『返還ビジネス』」とは何かというと、上記記事の本文を読む限り、過払い利息の返還や、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する条項に基づき支払いを余儀なくされた金銭の返還、未払い残業代の支払い等が義務者により任意になされない場合に、代理人に就任し訴訟内外の行為を行うことによりその返還・支払がなされるようにし、その対価として、返還・支払いされた金員の一部を報酬として受領する弁護士のビジネスをいうようです。

 そのような「返還ビジネス」の急増を許さない方法として2つの方法があります。ひとつは、警察的規制を強化し、上記のような不法の利益を事業者が自分の懐に入れたまま本来の権利者に任意に返還しないという状況の存在を許さないというものです。もうひとつは、弁護士が権利者の代理人に就任することで上記の不法の利益が本来の権利者に返還されることを妨害するという方法です。後者には、実体法を改正して上記利益を合法的なものにしてしまうという方法と、上記返還等を実現するのに寄与した弁護士の報酬を制限することで弁護士がプロボノ枠を超えてこれに従事することがないように仕向けるというものです。

 伊藤氏は、

過払い金返還請求がもたらしたのは、商工ローンのロプロ(旧日栄)、SFCG(旧商工ファンド)といった老舗の倒産、あるいは消費者金融大手四社の一角のアイフルが私的整理に入るなど、小口無担保金融モデルの破たんだった。20万人近い雇用を抱える業界は揺らぎ、多くのノンバンク社員は職を失った。社会的損失は大きい。
と述べていますので、「返還ビジネス」の急増を許さない方法として、「不法の利益が本来の権利者に返還されること」を妨害すべきと提唱されているように見受けられます。これを未払い残業代に当てはめると、「返還ビジネス」の急増を許さないために、労働者が未払い残業代を企業に請求することを法的に制限せよということになっていくのでしょう。

 それは、「『返還ビジネス』で儲けている憎き弁護士どもをやっつける」代償としてはあまりに大きすぎるのではないかと思ってしまいます。

 なお、伊藤氏は、この記事の冒頭で、

弁護士業界に、「返還ビジネス」という新しいジャンルが誕生した。

と述べているのですが、代理人に就任して訴訟内外の活動をすることにより、本来の権利者に任意に返還されない金員が返還されるようにすることで対価を得るという業務は、弁護士としては古典的なものの一つです。しかし、某知事等が高利貸しのためにそのような業務に従事して相応の報酬を得ていたときにはその種の「返還ビジネス」を漫然と放任していたのに、逆に、高利貸しが返還請求を受ける立場に転じてしまったら、それを「弁護士のためのビジネス」と位置づけて嫉妬心を煽ることで、「弁護士のための「返還ビジネス」の急増をこのまま許していいのか」などと呼びかけてみる。

 とても、人間らしくてわかりやすい人です。

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