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12/03/2010

知恵を絞った結果が増員ペースの見直しなのだ

 朝日新聞も社説で日弁連会長選挙のことに触れているようです。

 日弁連の中での不満の高まりを受けて、宇都宮氏は合格者数を「1500人に減らす」と訴えた。改革を根幹から覆すような主張である。急激な増員がひずみをもたらした面はあるとしても、あまりにも内向きの論理だ。


 合格者増の目的が、弁護士需要に応えるという点にあるのであれば、意外と弁護士需要がなかったことが判明した現在、増員のペースを落とすことは、「改革を根幹から覆すような主張」にはあたりません。それとも、朝日新聞社には、別の目的があったのでしょうか。

 司法制度改革は経済界や労働団体、消費者団体など幅広い国民の要請をうけ、日弁連、法務省、最高裁の法曹3者で進めてきた経緯がある。弁護士会の都合だけで、大幅な見直しをすることはできない。

 もちろん、弁護士会は立法権を握っていないので、日弁連が何を言おうとも、弁護士会の都合だけでは、大幅な見直しはされません。ただし、司法制度を担う1セクターたる弁護士会が、司法制度改革のひずみを指摘して具体的な改善案を提唱し、他のセクターに働きかけることは何の問題もありません。

 増員ペースが速すぎるというなら、問題点を洗い出し改善策を示すのが筋だ。就職難をいうなら、法曹資格者の民間企業や官公庁などへの進出をどう促すか真剣に検討すべきだ。質の低下をいうなら、法科大学院をどう改革するかの議論を優先させることだ。日弁連だけでなく、法曹界や関係団体が一緒になって知恵を絞ってほしい。

 増員ペースが速すぎることの問題点の洗い出しは既に済んでおり、その改善策として、「増員ペースを落とす」という直接的かつ具体的な案が提示されています。それ以外に改善策があるというのであれば、朝日新聞社が具体的に提示したら良いように思います。

 「法曹資格者の民間企業や官公庁などへの進出をどう促すか」についても、弁護士会は真剣に検討していますが、当の企業の側が新規資格取得者など採用したくないといっています。弁護士会には、企業に新人を押しつける力はありません。

 また、法科大学院の改革の議論もし尽くしています。裁判所だって法務省だって手をこまねいてみていたわけではありません。でも、どうにもなりません。法科大学院制度が始まる当初は研究者の方々は自信に満ちあふれていたわけですが、所詮実質を伴わない空威張りに過ぎなかったのですから。

 市民が身近に弁護士に相談できる「法テラス」のコールセンターへの問い合わせ件数は08年度、約28万8千件にのぼった。起訴前の容疑者にも国選弁護人をつけるようになった。弁護士を必要とする人はたくさんいる。

 でも、お金を支払えない人からいくら必要とされても、それに応えていたら弁護士は生活ができません。朝日新聞社の従業員ほどの豪勢な生活は望まないにしても、屋根の下で起臥寝食したいですし、子どもがいれば、少なくとも高校くらいは進学させてやりたいのだろうと思います。

 いわゆる「即独」をされた弁護士の収支がここに現れています。漸く「売り上げ=経費」です。この方は、運転資金込みで最初に800万円を親御さんから借りることができたので何とかなっていますが、そのような豊かな親御さんを持たない新人は、むしろ、資格取得時に1000万円近い借金を背負い込んだ上でのスタートを強いられます。「このため若手のなかには仕事探しに苦労する弁護士が出てきた。」などという生やさしいものではありません。

 朝日新聞社が、「弁護士が食えなくなればハッピー。高給取りは大手マスメディアの従業員だけで十分」という邪な気持ちでなく司法制度改革を推進したいと考えているのであれば、このようなひずみを解消するために、彼らを資金援助する等積極的に支援していただきたいものです。

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