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08/05/2010

鳩山政権の公約違反を責めるなら

 交渉というのは、全力を尽くしても目標を達成出来るかどうか分からない。これは日ごろ交渉に携わっている人には当たり前のことです。なにせ、相手のいることですから。

 だから、鳩山首相が、普天間基地の移転問題について、国外または県外移転という「公約」を結果的に果たせなかったからといって、それを「公約違反」と罵るのはあたっていないように思います。まあ、国外または県外移転を実現すべく何の交渉もしていないというのならばともかく、それなりに交渉をして、拒否されているだけですから。

 もちろん、目標を実現できるかは相手方次第である外交交渉ものを選挙公約にすることがそもそもの間違いであるという考え方はあろうかと思いますが、しかしそういう考え方にたってしまうと、私たち国民は、選挙の時に、各政党がどういう外交方針を採用するのか、どの外交問題について外国に対しどのような要求をその政党が政権を取った際に行うのか、知り得ないということになってしまいます。選挙の時にそれを示してしまうと、それが実現できなかったときに、公約違反だと罵られてしまいますから。

 その意味で、普天間基地の移転問題で鳩山首相を公約違反と罵ること、ましてそのことを主たる理由として退陣を迫ることは、適切でないように思います。

 鳩山政権を攻撃したいのであれば、むしろ、公約を実現しようと思えばできるのに実現しようとしない問題に焦点を絞るべきだと思います。

 もちろん、公的資金を大規模に費消してしまうタイプの選挙公約は、税収の大幅減や前政権末期のある種の焦土作戦の効果として思いのほか財源不足になっていることから、公約を果たすことができないのですから、それを非難するのはいかがなものかなあと思います。

 そうではなくて、鳩山政権の公約違反を攻撃しようというのであれば、やはり、取調べの可視化を中心とする刑事訴訟法の改正を速やかに行おうとしないという点においてでしょう。野党時代に法律案を作り上げているわけですから、すぐにでも法案を上程することは可能です。まあ、今度は政府案として提出することになるのだから有識者を含む審議会を通す必要があるというのであれば、さっさと審議会にかければいいだけの話です。それをやらないのは、警察官僚、法務官僚等に丸め込まれただけではないかと疑われても仕方がありません。

 ということで、野党の皆様、下野なう新聞の皆様、鳩山政権の公約違反を追求するのであれば、是非とも、「いつになったら取調べの可視化を実現するのだ!!」ということでお願いします。

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