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juin 2010

19/06/2010

「供述の任意性が争いとならない事件」か否か取調べ前にわかるの?

 毎日新聞社によれば、

 千葉景子法相は18日の閣議後会見で、取り調べ可視化の対象事件を限定して法制化を進める方針を発表した。

とのことです。

検察の取り扱う事件は年間約200万件に上り、交通違反、事故など供述の任意性が争いとならない事件が対象に含まれるほか、コスト面の負担が大きすぎると指摘。「実務上の課題を踏まえると、全事件の可視化は現実的ではない」と結論づけた。

 交通違反、事故などが「供述の任意性が争いにならない」という理由がよくわかりません。法務省では、遠藤国賠事件の元事件は無かったことになっているのでしょうか。あるいは、

 18日発表した中間報告は、検察受理事件の約75%が道交法違反や自動車運転過失致死傷など交通事件で、起訴される事件は約6%にとどまると指摘。「供述の任意性が問題とならないものも含まれ、可視化で実現しようとするメリットに見合わない多大な負担やコストとなる」とした。
としたとありますから、「道交法違反や自動車運転過失致死傷など交通事件」の全てが「供述の任意性が問題とならない」という趣旨ではないのかもしれません。ただ、供述の任意性が問題となるか否かは公判前整理期日にならないとわからないので、「供述の任意性が問題とならないものも含まれ」るということは、「取り調べ可視化の対象事件を限定して法制化を進め」てよい理由にはなっていないように思います。

 年間約200万件程度の取調べを全面録画するのに必要なコストをどの程度のものだと見積もっているのかはこの記事からはわからないのですが、千葉法相は、「可視化で実現しようとするメリット」はそのコストに劣ると考えておられるようです。「可視化で実現しようとするメリット」って何だったでしょうか。拷問を含めた不当な取調べを受けない、記憶と異なる内容の自白調書に署名・捺印させられない、無実の罪で刑罰を課せられないということだったと思うのですが、あまねく国民がこのような手続き的な保障を得られるということは、年間約200万件程度の取調べを全面録画するのに必要なコストと比べたら、取るに足りないものだと千葉法相はお考えなのでしょうか。

 さらに記事では、

また、暴力団など組織的犯罪では報復の恐れなどから容疑者が真実の供述をためらったり、容疑者に知的障害がある場合は容疑者が取調官に迎合する可能性もあるとして、全過程にこだわらない方法も検討するとした。

とも報じているのですが、「容疑者に知的障害がある場合は容疑者が取調官に迎合する可能性もある」ということは、むしろ取調べ過程の可視化がより必要とされる事情なのではないかと思ってしまいます。どういう応答がなされたのかが正確に再現できた方が、その自白が「容疑者が取調官に迎合」した結果なされたものなのかを判断しやすいように思ってしまいます。

 「暴力団など組織的犯罪」での報復の恐れ云々というのはよく語られるのですが、供述した結果が「調書」として残ればやはり報復される恐れがあるわけですし、あまりに意味のある話でもないように思ったりします。まあ、被疑事実とは無関係の組織内の問題について話させる場合には調書化する必要もないのですが、そのような「本来の捜査手続外の事項」をやりやすくするために、「拷問を含めた不当な取調べを受けない、記憶と異なる内容の自白調書に署名・捺印させられない、無実の罪で刑罰を課せられない」という手続的保障を「暴力団など組織的犯罪」を犯したと疑われている人から奪ってしまうというのもいかがなものかという気がします。

17/06/2010

どこにもいない合理人

 池田信夫さんが、また変わったことを述べています。

生涯所得で考えると、人々の所得は勤労所得と引退後の年金にわけられます。一般に後者のほうが低いので、現役のとき高い所得を得ていた人でも、引退後は所得が低くなり、消費性向は上がる。人々が合理的に消費すると仮定すると、死ぬまでに所得をすべて使い切るので、生涯所得に対する消費税の比率は同じです。

 しかし、逆進性が問題となる程度に収入格差が大きな社会において、高額所得者でありながら、「死ぬまでに所得を全て使い切る」合理的な人々というのはかなり希な存在です。「死ぬまでに所得を全て使い切」らない人が多いからこそ、死亡時にそれなりに財産が残り、相続が発生するのです。

経済学者の世界では、「死ぬまでに所得を全て使い切る」合理的人間という新しい概念を持ち出すことにより消費税の逆進性を否定してみせると業績になるのかもしれませんが、一歩経済学者の世界の外に行くと、「人を小馬鹿にした議論」にしか見えないように思われてなりません。

 これを見る限り、池田さんだけが非現実的なわけではなくて、大竹先生も同程度のようですね。


【追記】

なお、池田さんが上記エントリーのコメント欄で次のように述べているようです。

「死ぬまでに使い切るという仮定は非現実的だ」とかいうコメントがたくさん来たので、すべて削除しました。その仮定が実証的にフィットしているのだから、死ぬときの遺産の残高は生涯にわたる消費の総額に比べると無視できるということ。

 そこで、国税庁のサイトに公開されているデータから、相続税申告されるような方は遺産残高がどの程度あるのかを調べてみました。







































年度課税価格(百万円)被相続人の数被相続人一人あたりの課税価格(円)

平成15年

10,358,210

44,438

233,093,524

平成16年

9,861,773

43,488

226,769,983

平成17年

10,195,255

45,152

225,798,525

平成18年

10,405,555

45,177

230,328,596

平成19年

10,655,731

46,820

227,589,299

平成20年

10,748,248

48,016

223,847,218

 ざっと計算して、一人あたり2億2〜3000万円の遺産を残してなくなっているということになりますね。この程度の遺産なんて「生涯にわたる消費の総額に比べると無視できる」と仰る池田さんは毎年いくらくらい消費されているのでしょうか。

10/06/2010

テレビ局の公共性ゆえの営業の自由の制限

 前回のエントリーについて、次のようなはてなブックマークコメントが附されています。
Hatebook100609

 真ん中の3名はいつもの定常運転かなとも思えますので無視しても構わないのですが、ただ、一言言及しておくと、テレビ放送というのは、貴重な電波をテレビ局という私企業に独占的に使用させることにより成り立っているものであるが故に、テレビ局は、公共の福祉の観点から、営業の自由を相当程度制約される存在であるということを軽視すべきではないということです。

 実際、放送法第1条は、放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。を放送に関する基本原則の第1に規定しています。ですから、放送事業者に対して、その放送内容を、世界中にどこにいてもリアルタイムで視聴出来る機会を設けることを免許の取得または更新の条件とする立法がなされたとしても、違和感を覚えずに済みます。むしろ、その本社のある都道府県以外の地域にも放送内容を伝達する技術的手段が既に実用化された以上、「放送対象地域」という概念は不要になったというべきでしょう。

08/06/2010

「TV5MONDE」がすごい

 フランスのテレビ局「TV5MONDE」がすごいです。

 日本向けに24時間ライブストリーミング+ビデオ・オンデマンドサービスを提供しています。まあ、有料ではありますが、月額1200円ですし、何にせよMacにもきちんと対応している点に非常に好感が持てます。ひかりTVオンリーのBBC NEWSやBBTVオンリーのCNNと異なり、ブロード回線の事業会社を選ばないし。しかも、番組によっては日本語字幕付き。インターネットにより情報が国境を超えるということにまた一歩近づいています。

 日本政府も、JAPAN COOLを目指すのであれば、このくらいのことはキー局に命じてもらいたいところです。

03/06/2010

世襲社会の終焉

 菅さんがそのまま総理に昇格するにせよ、樽床さんが大逆転を収めて総理の座をつかむにせよ、国会議員の子どもではない総理大臣というのは森さん以来なんだなあ、政治家の子どもではない総理に至っては、村山さん以来なのだなあということを、しみじみ感じざるを得ません。

 国会議員の子どもが総理になるというのは、戦後についていえば、宮沢さん以来の流れであって、昔からそうだったわけではありません。そして、総理大臣になるのは国会議員2世、3世が当たり前の格差社会を築き上げられたら、活力の乏しい「失われた20年」が到来してしまったということになります。

 そういう意味では、どちらが次期総理になるにしても、閉塞的な世襲社会の終焉を象徴するものになって欲しいなあ、と願わずにはいられません。

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