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août 2010

09/08/2010

保証審査の基準

 従前、司法修習生は、修習期間中修習専念義務を負い兼職が禁止されてきた代わりに、その間の生活費相当が給付されてきた。しかし、法科大学院の維持に無駄に国費を浪費することとしたために、司法修習生への上記給付はなされないことになった。自公連立政権時代に決まった話ではあるが、移行期間が設けられていたため、実際に給付が停止されるのは今年の11月からである。

 とはいえ、修習生は以前修習専念義務を負うし、最高裁が指定する任意の実務修習地への移転を余儀なくされる司法修習生が兼職することにより生活費相当を稼ぐのは容易ではない。このため、さすがに最高裁も、修習期間中の生活費相当を修習生に貸与することとした。

 これはこれで酷い話なのだが、もっと酷い話はこれからだ。

 最高裁は、上記貸付を行う条件として、自然人2名を連帯保証人として用意することを求めた。自然人の保証人を用意できない場合は、2.1%の保証手数料を支払って、オリエントコーポレーションに機関保証してもらうことを求めた。修習生への融資の貸倒リスクすら国が負えない理由はよく分からない。

 したがって、これはこれで著しく酷い話なのだが、もっと酷い話はこれからだ。

 最高裁のウェブサイトには「修習資金貸与ガイド 〜これから貸与を受ける方へ〜」というウェブページが新たにアップロードされている。そこには、以下のような記載がある。

 金融機関の審査の結果,保証の承諾が得られた場合には,その旨をお知らせすることはありませんが,保証の承諾が得られない場合には,司法研修所からその旨をお知らせしますので,自然人の保証人を立ててください。

 これを見る限り、オリエントコーポレーションは、機関保証の申し込みをした個々の司法修習生について、保証審査を行い、これに合格しない修習生に対しては、機関保証をしないつもりのようだ。最高裁は、その場合に自然人の保証人を立ててくださいとしているが、自然人の保証人が立てられないからこそ2.1%の保証料を支払うことを覚悟して機関保証の申請を行うのだ。その審査をパスしなかったからといって、自然人の保証人が立てられる可能性は低い(もちろん、お小遣い稼ぎで保証人を務めようという人を斡旋する組織はあるのだが、未来の法曹がそういう組織と関与することの当否は十分考えるべきである。)。

 さらに突き詰めて考えると、最高裁とオリコとの間では、どのような基準で保証審査をすることになっているのかが問題となり得るが、これは公開されている情報からは明らかではない。

 通常金融機関による審査で重要な地位を占める「年収」については「0」であることが前提である。金融機関による審査は修習開始前になされるので、この段階で法律事務所への内定を得ているものは希であるし、任官・任検希望の場合は、その段階で内定を与えるという枠組みすらないので、近い将来の収入ですら判然としない。また、その多くが、大学、法科大学院を卒業した若者であることが前提であるだけに、不動産担保があることもまた望むべくもない。したがって、プラスの面の審査は不可能である。

 では、どれだけの負債を負っているのかを中心に審査するのかという話になるが、そうだとすると話は余計に悲劇的である。なぜならば、法科大学院制度自体が、法科大学院を卒業する前の過程で授業料及びその間の生活費について奨学金制度によって融資を受けて調達する者の存在を前提としているからである。そして、その額は、決して安いものではない(数百万から1千数百万円程度)。仮に、法科大学院に通学している際の授業料等を親等に工面してもらうことができず、奨学金という名の融資により調達したが故に、司法修習を受けようとする時点において数百万から1千数百万円の債務を負っている司法試験合格者が、それらの負債を負っているが故に、修習期間中の生活費について貸与を受けることができず、結局修習を受けることを断念せざるを得ないとしたら、それはまさに本末転倒といわざるを得ない。

 しかし、公開されている情報からでは、そのような運用がなされないと確信を持って断言することができないのが実情である。

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