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novembre 2011

17/11/2011

自炊用の電子書籍端末

 現在販売されている電子書籍端末についての一番の不満は、自炊データを閲覧することを想定したつくりになっていないということです。もちろん、PDFファイルを読み込んで表示できる機能というのは実質的に自炊データ用といえるのかも知れません。ただ、PDFデータが表示できれば、自炊データを閲覧するのに十分かといえばそうではありません。

 例えば、A4版の雑誌を図書館等でコピーし、そのコピーを持ち帰って自宅またはオフィスのスキャナでPDF化することを考えてみましょう。雑誌を文書コピー機でコピーする場合、通常、1枚で見開き2頁分をコピーすることになります。つまり、図1のようになるわけです。Photo現在、A4版見開き2頁、すなわちA3版をそのまま表示できる電子書籍端末は現在市販されていません。市販されたとしても、大きすぎて持ち歩く気になりません。もちろん、データを液晶サイズまで縮小して表示する機能を有している電子書籍端末は市販されています。しかし、A3版のデータをA5サイズまで縮小すると、文字は極めて小さくなり、とても読みにくくなります。

 したがって、見開き2頁を1枚にコピーした資料を自炊して電子書籍端末で閲覧するユーザーのことを考えたら、横長のPDFページの中央のページ境部分を解析してその左右を別ページとして認識し、表示する機能(図2)があると、自炊データ閲覧には便利です。Photo_2

 ただ、その場合、電子書籍端末が元の雑誌データと同じ大きさかまたは少し小さいくらいならいいのですが、大分小さいとなると、やはり相当縮小してデータを表示する必要が出てきます。A4版のデータを閲覧するのであれば、Kindleの9インチ版やiPadが限界かなあと正直思います。

Photo_3 それより小さい電子書籍端末の場合、更なる一工夫が必要だと思います。つまり、図3のように、見開き2頁を左右に分解した上に、さらに上下に分解して横長画面で閲覧をすることができるようにする機能があると、読みやすくなるのではないかと思うのです。

 もちろん、上下に分ける場合、通常中央に空白部分はないので、中央付近の5%分くらいは重複して表示するくらいの工夫が必要だと思いますが、そういう工夫さえできれば、A5サイズの電子書籍端末でも、A4サイズの雑誌等から自炊したデータの閲覧をストレスなく行えるようになるのになあと私などは思ってしまいます。

 あとは、サブディレクトリ表示ができる程度にまともなファイル管理システムを兼ね備えるとか、検索用のタグ付けをできるようにする等の工夫をすれば、大分真っ当になるのではないかと思います。

 どこぞのメーカーさんで作っていただけないですかね?


13/11/2011

TPP参加問題

 TPP交渉に日本政府として参加するか否かを巡り、激しい対立があるようです。

 ただ、交渉に参加したら不当な条項を丸呑みにしなければならない前提っておかしいと思っています。既に条項が固まって、既に批准国が一定の限度を超えて発行している条約に後から参加し批准する場合ですら、国内法に抵触する条項等について留保することが通常可能です。まして、未だ条項が固まっていないTPPについて、日本が交渉に参加したら即、ありとあらゆる日本の不利な条項を丸呑みしなければならないという自体にはなり得ないと思われるからです。

 特に、おおむね民主主義国では、条約締結に向けた交渉に参加するには議会の承認はいらないが、条約を批准するには議会の承認を要することとされているため、交渉には参加したが、全条項丸呑みでは議会を通らないということは想定の範囲内なので、「交渉に参加したが最後、丸呑みするしかない」という仕組みになっているとは思われません。

 さらにいえば、TPP参加国として想定されている国々のうち日本は経済規模がアメリカに次ぐ大国であり、日本の参加不参加がその成功の鍵を握っているので、「そのような条項は承認できない」ときっぱりと主張をすればそれ以上ごり押しをすることも難しいのではないかと思います。

 むしろ、問題は、自分たちの利益を図るために外圧を利用してきた人々が、TPPを利用して、自分たちに有利な仕組みをTPPに盛り込ませようとすることなのではないかと思います。

 そのようなことをさせないためには、「交渉に参加するな」ということにエネルギーを浪費するのではなく、それぞれの領域について、政府に対し、情報の公開と、どのようなルール作りを提唱するのかについて、市民参加型で協議をする場の設置を設けるように要求した上で、知恵を出し合うことにエネルギーを使った方がいいのではないかと思います。

 特に、利害対立が国家間ではなく、国内のポジション間で鋭く対立する問題(知的財産問題などは典型的です。)については、米国等の市民団体とも連携しうるのではないかと思われます。

09/11/2011

最高裁判例の一人歩きの一事例(権利侵害の一見明白性)

開示関係役務提供者は,侵害情報の流通による開示請求者の権利侵害が明白であることなど当該開示請求が同条1項各号所定の要件のいずれにも該当することを認識し,又は上記要件のいずれにも該当することが一見明白であり,その旨認識することができなかったことにつき重大な過失がある場合にのみ,損害賠償責任を負うものと解するのが相当である

とする最高裁判所平成22年4月13日第三小法廷判決民集64巻3号758頁を引用して、発信者が権利侵害を自認しない場合には、プロバイダは訴訟外で任意に発信者情報の開示に応じなくとも、重大な過失ありとはいえないという主張がなされることがあり、それを認める下級審もあるようです。

 しかし、それは最高裁判例の一人歩きもいいところではないかと思います。

 上記最高裁判決が、任意に発信者情報を開示しなかったプロバイダについて重過失を否定したのは、以下のような理由に基づきます。

  1.  当該事件においては、「2ちゃんねる」の電子掲示板の「A学園Part2」と題するスレッドにおいて、当該事件原告(以下、「X」という)とXが学園長を務めるA学園の活動に関して、様々な立場からの書き込みがなされており、その中で「何このまともなスレ 気違いはどうみてもA学長」との書き込みがなされたという事案であった。
  2.  上記書き込みは、その文言からすると、上記スレッドにおける議論はまともなものであって,異常な行動をしているのはどのように判断してもXであるとの意見ないし感想を,異常な行動をする者を「気違い」という表現を用いて表し,記述したものと解される。
  3.  上記記述は,「気違い」といった侮辱的な表現を含むとはいえ,被上告人の人格的価値に関し,具体的事実を摘示してその社会的評価を低下させるものではなく,被上告人の名誉感情を侵害するにとどまるものであって,これが社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認められる場合に初めて被上告人の人格的利益の侵害が認められ得るにすぎない。
  4.  上記書き込み中,Xを侮辱する文言は上記の「気違い」という表現の一語のみであり,特段の根拠を示すこともなく,本件書き込みをした者の意見ないし感想としてこれが述べられていることも考慮すれば,上記書き込みの文言それ自体から,これが社会通念上許される限度を超える侮辱行為であることが一見明白であるということはできず,上記スレッドの他の書き込みの内容,本件書き込みがされた経緯等を考慮しなければ,Xの権利侵害の明白性の有無を判断することはできない。

 実際、上記事件は、判例雑誌に引用されている上告受理申立理由を見る限り、第1審では発信者情報開示請求自体を棄却、控訴審で発信者情報開示請求及び損害賠償請求を認容という経緯を辿っており、そのような事案において、そこで用いられている「気違い」という表現が「社会通念上許される限度を超える侮辱行為であることが一見明白である」とは言えないとするのはあながち不合理であるとは言えません。

 ただ、この最高裁判例は、当該事件においてどの点に関する判断が難しいかを具体的に特定し、判断が難しい理由についてまでちゃんと言及をしています。すなわち、挟む余地のある「疑義」を具体的に特定することにより、開示請求者の権利が侵害されたことが一見明白であるとは言えないという結論を導いています。

 ところが、近時は、この最高裁判例を引用しつつも、「開示請求権者の権利への侵害」について、具体的にどのような疑義が存在するのかを特定することなく、「一見明白であるとは言えない」とする主張が増えてきているような気がします。しかし、どんな疑義を挟む余地があるのかを特定することなしに「一見明白であるとは言えない」と言われても、反論のしようがありません。したがって、このような運用を認めてしまうと、発信者情報は任意には開示されず、被害者は全て訴訟を経ないと何の情報の開示も受けられないということになります。それは、被害者の経済的な負担を大きくするだけでなく、IPアドレス+タイムスタンプについてまで同様の運用がなされるときには、判決の確定により発信者情報としてIPアドレスとタイムスタンプの開示を受けたときには既に経由プロバイダの側でアクセスログを消去しており発信者の氏名等をたぐり寄せることができなくなってしまうということも十分に考えられるところです。

 現行のプロバイダ責任制限法でも、開示請求者が発信者に対して訴訟を提起する場合の客観的主要事実の存在を示した場合には、主観的証明責任が事実上開示関係役務提供者に移転すると考えることは可能です(実際、プライバシー権侵害が問題となった事案で、開示関係役務提供者が「あらゆる抗弁事由が成立しないことの主張・立証責任」を開示請求者に求めたが、開示請求者にそこまでの主張・立証責任はないとして、裁判所が発信者情報開示請求を認めた事案はあります。)。この場合、開示関係役務提供者は、具体的な抗弁事由が成立する旨の合理的な疑いがあることを主張する責任を負い、その責任が果たされなかった場合には、抗弁事由が成立する合理的な疑いがないわけですから、権利侵害がなされたことは明白だとして取り扱ってよいと解するべきなのではないかと思います。

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