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mai 2012

20/05/2012

訴状の必要的記載事項に関する情報の偏在に対する是正方法


日本民事訴訟法学会で下記の質問をしました。

インターネット紛争等を民事訴訟で解決するために、被告の氏名をネット上の仮名(ハンドルまたはID)で訴状を提出しつつ、被告の氏名に関する訴状の補正を行う前に第三者(SNS提供者等)に対して、被告を特定するのに必要な情報(氏名、住所またはIPアドレス)を記載した文書の提出を命ずるよう申立てを行うことは、現行法上可能でしょうか。現行法では不可とする場合、どのような改正が必要でしょうか。

また、SNS提供者等の多くは外国会社なのですが、文書提出命令や命令に応じる文書の提出をメール等で行うことは、現行法上可能でしょうか。

というものです。

前段は、要するに、Jon Doe訴訟は現行法上可能か、不可だとすれば、どうすれば可能となるのかということだったのですが、問題意識自体が伝わらなかったようです。

偏在している事実が「訴状の必要的記載事項」に関するものである場合には、文書提出命令(または、その先取りである証拠保全手続き)による是正が受けられないとする制度的な合理性があるように私には思えないわけです。パネリストさんたちは訴訟外でやってくれというのだけど、「訴状の必要的記載事項」に関する情報の偏在の是正についてのみ訴訟外で行うべきとする合理的な理由はないし、実際、訴訟外で行えることは極めて限定されているわけです。

とりわけ、SNS提供者等が米国企業である場合には日本のプロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求に関して日本の裁判所は国際裁判管轄を有しないという見解に立つ場合、重大な問題が生ずる可能性があります。匿名の発信者を被告とする訴訟の中で被告の氏名等を開示させる米国法のもとでは、日本から日本に向けて発信がなされているという場合には、匿名発信者を被告とする訴訟自体が管轄違いで却下される危険があるし、被告たる発信者が日本に在住する日本人であることがほぼわかっているのに、米国の裁判所で訴訟を提起しなければならないというのは、訴訟を起こすまでのハードルが大きすぎます。また、ドメイン取得代行事業者が実質的なドメイン保有者の氏名等を秘匿している場合のように、プロバイダ責任制限法4条1項の適用が難しいときには、訴訟外でなんとかせよといわれてもなんともしようがありません。

後段についていえば、文書提出命令の申立自体をメール等でやらせろといっているものと誤解されてしまったようです。

米国のCGM事業者のサイトをみると、司法当局からメールで照会してもらえれば開示することを謳っているところが少なからずあるので、これに応えて、裁判所が係る業者にメールで発信者情報等の開示を命じることができないんだろうかという話です。文書提出命令の相手方が外国企業である場合に命令書の送達を領事送達で行うのだとすると、一回送達するだけで3〜4ヶ月かかるのです。

基本的には、「民事訴訟法の今後の改正課題」と言ってみても、インターネット紛争を民事訴訟で解決可能なものにして行こうという機運はあまりないということはいえそうです。

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