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09/02/2016

外国法人に対する訴え提起等に際しての代表者にかかる証明

 法人等に対して訴訟を提起する場合、訴状において、被告たる法人だけではなく、その法定代理人をも特定して記載するものとされています(民事訴訟法37条により準用される民事訴訟法133条2項)。法人等を債務者として仮処分や仮差押をする場合も同様です(民事保全法7条)。

 訴状等において当事者の代表者として記載されている者が当該当事者の代表者たる□を有していることの証明(資格証明)は、書面によってしなければならないとされています(民事訴訟法37条により準用される民事訴訟規則15条)。当事者が国内法人である場合、法務局に行って登記事項証明書の交付を受けて、その原本を「資格証明書」として裁判所に提出することにより資格証明を行うのが通常です。

 しかし、日本国内に営業所等のない法人を被告とする訴訟を日本の裁判所に提起したり、日本国内に営業所等のない法人を債務者とする仮処分の申立てを日本の裁判所に行おうという場合には、この点がネックになることがしばしばあります。ある法人の現在の代表者が誰であるのかを公証する仕組みが整備されていない国や地域が少なくないからです。とりわけ問題なのは、日本との経済的な関係が深く、また、日本国内に居住する日本人をも相手にするサービスを提供しているインターネット企業の多くが本店を置いている米国において、法人の代表者を公証する仕組みが十分に整備されていない点です。

 本来であれば、TPP交渉の際にこのような非関税障壁の是正を参加国に義務づけるべきだったと思うのですが、法曹資格もなく、当然外国企業との裁判実務経験も乏しい甘利元担当大臣には荷が重かったのでしょう。

 とりあえずの弥縫策としては、訴え提起や、双方審尋を行う仮処分の申立ての時点では、当該法人等自身のウェブサイト上に代表者に関する記載があるような場合や、米国でいえばその法人が本店等を置いている州の州務長官のウェブサイト上に代表者に関する記載があるような場合には、それらをプリントアウトしたものによる資格証明でも足りるという運用に変えていく必要があるのではないかと思います(民事訴訟規則上は、書面によって資格証明をすれば足り、公的機関が作成した書面による資格証明までは必要とされていないので、裁判所の運用を変更すればどうにかなります。)。

 さらに、立法論的には、日本において取引を継続してする外国会社の日本における業務に関する訴えを日本の裁判所に提起する場合(そのような外国会社の日本における業務に関して仮処分の申立てを日本の裁判所に申し立てる場合も同様)については、当該外国会社が日本国内において外国会社としての登記をしていない場合には、代表者を特定することなしに訴えを提起しまたは仮処分の申立てを行うことを例外的に許容するべきなのではないかと思います。本来日本の裁判所でその責任を問うことができる外国法人について、代表者を公証できないが故に、訴訟で責任を問うことを断念しなければならないという事態は、「法の支配の貫徹」という観点から見たときに、許すべきではないからです。

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