ヘイトスピーチとセクハラの違い
札幌の猪野亨弁護士が連日不思議な見解を述べています。
たとえば、
私たちがすべきことは、権力の力でヘイトスピーチを取り締まらせたり、実力で阻止することではありません。
このようなヘイトスピーチを生み出す社会の歪みを考え、正していくことです。
とか、
ヘイトスピーチが社会の歪み、政治の右傾化と格差社会(もっとたくさんの社会的要因はありますけれど)の中で登場してきたものであることは常識レベルだと思っていたのですが、ネット界では、個人の資質だと全てを個人の資質の問題に矮小化してしまうツイートが流れていたことには驚きました。だから、そのヘイトデモを叩き潰せば問題が解決するなんて短絡的に考えているのでしょう。とかです。
私たち実務法曹は、基本的に、現実に存在する人権侵害等の諸問題が、仮に「社会の歪み」の中で登場してきたものであろうとも、とりあえず目の前にある諸問題を解決することにエネルギーを注いできました。私たちは、現に発生している諸問題を放置して、その社会悪を生み出す「社会の歪み」が正すことにうつつを抜かすようなことはしてきませんでした。例えば、セクハラやDVが、「男性優位社会」という「社会の歪み」により生み出されたものであるからと言って、「男性優位社会」を正すことに注力し、その間現に発生しているセクハラやDVを放置する、という方針を採用してきませんでした。
それは当然のことであって、「社会の歪み」なんて一朝一夕に正せるものではありませんし、その間、その「社会の歪み」から生ずる人権侵害等を放置していれば、その被害者たちに耐えがたい苦痛を与えてしまうからです。
もちろん、猪野弁護士にしても、「セクハラやDVが、『男性優位社会』という『社会の歪み』により生み出されたものであるから、その対策としては専ら『男性優位社会』という『社会の歪み』を正していくことによるべきであって、個々のセクハラやDVを働く人を問題視して、強制的にこれをやめさせようとするべきではない。まして、警察と協力してこれをやめさせようとするなんて許せない」とは言わないと思うのです。結局、そこには、在日朝鮮人たちに対するヘイトスピーチ、ヘイトデモとセクハラ・DV等との間に、無意識に、優先順位を付けているからなのではないかと思ってしまいます。
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