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octobre 2016

09/10/2016

荻野浩次郎さんの問いに対する回答

 荻野浩次郎さんという方が、

中東に駐在経験のある知人が面白い問題提起をしていた。いわゆる左巻き…というか、地球市民というかグローバリストに尋ねてみたい、と。
述べています。地球市民でもグローバリストでもありませんが、答えてみましょう。
1.イスラム教徒がイスラム法に従った生活文化を維持するのはいいか?

我々と無関係に暮らしている分には問題がありません。

2.イスラム教徒が日本に移住してくるのはいいか?

出入国管理法に則って移住してくる分には、イスラム教徒であることを理由にこれを拒むのは不合理ですね。

3.イスラム教徒が日本でも彼らの生活文化を守ることはよいか

 日本国の法令に抵触しない限度であれば問題がありません。

4.日本でイスラム教徒が多数派になり、一部地域若しくは全国でイスラム法に基づいた統治を行うことを民主的に決定したら受け容れるか。

 法令の改正のみならず、憲法まで改姓された場合には、受け容れるとか受け容れないとかという状況ではないと思うのですが。選択肢は、一旦これを受け容れて日本に留まるか、日本を離れるかの選択肢しかありませんね(反政府ゲリラとなって戦うのはどうも。)。

5.日本生まれの日本人がイスラム教徒になるのは良いか。

ご自由に。

6.日本人イスラム教徒がイスラム法に基づいた生活文化をもつのは良いか。

 日本の法令に抵触しない限度であればご自由に

7.それが家父長的男尊女卑的でも良いか。

 日本の法令に抵触しない限度であればご自由に

8.非イスラム教徒の日本人が家父長的男尊女卑的生活文化を持つのは良いか

 日本の法令に抵触しない限度であればご自由に

9. 日本のうちの家父長的男尊女卑的生活文化を持つ集団が民主的にそれに基づいた法を施行維持するのは良いか。

 日本国憲法を改正してそのような法令を制定、施行することには賛同しがたいですね。

10.イスラム教徒がオーケーで日本人がだめな場合、その理由は?

 設問4は、イスラム法に基づいた統治を行うという決定の当否ではなく、そのような決定がなされた場合にこれを受け容れるかどうかを尋ねるものであるのに対し、設問9はそのような法改正を行うことの当否を尋ねるものなので、次元の違う設問を並べてそのようなことを言われても困ってしまいますね。

 自民党の参議院公認候補オープンエントリーに参加されるような方が、家父長的男尊女卑的生活文化の再現を求めておられるのですかね。

06/10/2016

カタリ派の陰を追って(1)

今年のバカンスを振り返ってみたいと思います。

準備

 今年のテーマは、「カタリ派の拠点巡り」です。

 なので、アルビジョワ十字軍の総大将であるシモン・ド・モンフォールを打ち倒した街、トゥールーズを拠点とすることをまず決めました。その上で、東京からどうやってトゥールーズまで行こうかを色々検討しました。その結果、どうもトルコ航空を使うと、イスタンブール空港経由で直接トゥールーズ空港まで行かれるようだ(しかも安いし、成田夜発だ)ということがわかり、Expediaを利用してまず航空チケットを押さえました。

 次に、拠点となるトゥールーズのホテルを押さえておく必要があります。今回は、Booking.comを使いました。行くのは8月終わりから9月初め。そして、最近は、欧州も猛暑となることがある。しかも、私は暑さに弱い。ということで、部屋にエアコンがついていることを最優先に考えました。あとは、中央駅のそばにするか、旧市街の中心部に近いところにするかを考えることになります(レンタカーを借りて動くのであれば、郊外の、設備の割にお値打ちのホテルにする手もあるのですが。)。旧市街から中央駅まで地下鉄で数駅で行かれそうだったので、旧市街地にホテルを取ることにしました。最終的に選んだのは、Hotel des Beaux Arts Toulouseです。新橋(Pont Neuf)の袂にあり、交通は至便、設備もなかなか、Booking.comで大幅ダンピングと好条件だったからです。一端は、「オーバーブッキングをしてしまったので、Hotel Garonneに行ってくれないか」とのメールが来たりしたのですが、その後、「やっぱり空室がでたので、こちらに来てはどうか」とのメールが来たので、結局、Hotel des Beaux Arts Toulouseに泊まりました。

 もっとも、土曜日出発だと、現地に着くのは日曜日。フランスだと、どうせ日曜日は美術館とレストランくらいしかやっていないので、初日は、鉄道に乗って奥に行こうと考えました。当初は、アンドラ公国に行こうと宿だけ先に取ったのですが、日曜日は交通機関もまばら運行なので、どうも宿に着くころには23時を過ぎてしまいそうだということがわかりました。次に、カタリ派最後の拠点、Montsegurで一泊するのも悪くないなと考えて、宿を取り替えてみたのですが、ここに行くにはFoix駅からタクシーに30分くらい乗らなければならないことがわかってきました。社会人なのでそのくらいの金銭負担は構わないのですが、「日曜日の夜、Foixというそれほど大きくない街でタクシーを呼んで、来なかったらどうしよう」という不安が頭をよぎりました。結局、カタリ派領主の1人、テルム伯の拠点であったAx les ThermesにあるDomaine de la Vallee d'Axを予約しておくことにしました。

(続く)

05/10/2016

それは、弁護士会の手に余る

 産経新聞が、「法曹養成 活躍の場増やす努力せよ」と題する社説で以下のように主張されています。

 弁護士や裁判官などの地域的偏在は解決されていない。災害被災地など長期的、組織的な法律家の支援を必要としている場がある。高齢者や子供を守る法曹の支援の重要性は増している。企業や官公庁、国際舞台で法律知識と交渉力を持つ人材が望まれている。
 弁護士会はこうした現状をみつめ、もっと活躍の場を広げ、法曹の仕事の意義や魅力アップの方策を考えてはどうか。

 この社説を書いた論説委員はずっと知識を更新しない人なんじゃないかと心配になります。

 弁護士の「ゼロワン」地域は既に解消されています。過払い金請求が一段落した今、弁護士が足りない地域があるという話を聞きません。裁判官が過疎化した支部に常駐しない問題は、弁護士会ではどうしようもありません。

 「災害被災地など長期的、組織的な法律家の支援を必要としている場」には東京などの大規模会から弁護士が派遣されています。現在都会で構えている事務所を捨ててそのような場に常駐するためには、「長期的、組織的な法律家の支援」が必要となくなった後もそこで開業し続けられる見込みが必要です。高齢者や子どもを守る仕事をする弁護士も普通に存在しています。足りないのは、弁護士の助けを必要とする高齢者や子どもが支払える報酬額と、弁護士が事務所を維持しさらに人並みの生活をするのに必要な報酬額とのギャップを埋める組織です。それも、弁護士会がどうこうできる問題ではありません。

 また、「国際舞台で法律知識と交渉力を持つ人材」を育てるためには、さしたる実績のない若い弁護士にそのような交渉に関与させる企業や官公庁が不可欠です。その種の人材は、法科大学院や弁護士会での研修によって生み出せるものではなく、一定の経験が必要だからです。もちろん、その経験を積む間無給では餓死しますので、きちんと報酬を払って若い弁護士をそのような場に就ける企業や官公庁が必要なのです。弁護士会ではどうしようもできません。

 「俺様が倫理の御旗を振れば、お前らは経済的合理性を無視して国家社会のために行動せざるを得ないはずだ」という甘い考えを持っているメディアは、そういう考え方が、平成の司法改革という史上希に見る「ダメ改革」を引き起こしたのだと言うことを、いい加減理解してほしいと思います。

01/10/2016

SLAPP訴訟?

 訴訟の提起自体が不法行為となる場合について、最判昭和63年1月26日民集第42巻第1号1頁は、次のように判示しています。

民事訴訟を提起した者が敗訴の確定判決を受けた場合において、右訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。けだし、訴えを提起する際に、提訴者において、自己の主張しようとする権利等の事実的、法律的根拠につき、高度の調査、検討が要請されるものと解するならば、裁判制度の自由な利用が著しく阻害される結果となり妥当でないからである。

 一部のジャーナリストたちが、自分たちに対する名誉毀損訴訟を「SLAPP訴訟」とレッテル貼りして、これを規制しようと試みているようです。しかし、裁判制度の自由な利用が著しく阻害される結果となることを回避するために訴訟の提起が不法行為となる場合を最高裁が限定した趣旨からすれば、ジャーナリストやメディアに対する名誉毀損訴訟が上記不当訴訟の要件を具備しない場合には、かかる訴訟の提起を「SLAPP訴訟」とレッテル貼りしてこれを抑制することは許されないと言うべきです。なぜなら、市民が報道被害対策として裁判制度を自由に利用することが阻害されることは回避すべきだからです。

 一部のジャーナリストは、表現の自由は重要であるから、これを抑制するために訴訟を提起するのは許されないと考えているようです。しかし、表現の自由と負けず劣らず、個人の人格的利益、とりわけ名誉は重要です。そして、刑法に「名誉毀損罪」を置き、「公共の利害に関する事実について、専ら公益目的をもって行った名誉毀損行為についてのみ、摘示事実が真実であることを立証できた場合に限り、違法性を阻却する」制度を採用している日本法は、むしろ、表現の自由よりも名誉の保護に軸足を置いていると言うことができるでしょう。そうであるならば、現在行われている名誉毀損行為を中止させ、また、さらなる名誉毀損行為を予め抑止するために名誉毀損訴訟を提起することは、何ら非難されるべきことではありません。中には、そのような訴訟において原告の代理人を務めた弁護士を懲戒するように弁護士会に申し入れ、これが拒絶されるや、弁護士自治を剥奪せよと放言するジャーナリストもいるようですが、現在行われている名誉毀損行為をやめさせ、報道される側の利益を守ろうと活動することを懲戒事由としてしまえば、我々弁護士は、報道機関やジャーナリストにより如何に陰湿なデマ攻撃がなされても、自らの法曹資格を捨てる覚悟をせずには、被害者救済のために立ち上がれないことになります。ジャーナリストにとっては夢のような社会ですが、攻撃される側にとっては救いのない社会が実現することとなります。

 一部のジャーナリストやそれに与する法律家の中には、名誉毀損訴訟を起こす側に、その名誉を毀損した摘示事実が虚偽であることの立証責任を負わせよと主張しているようです。しかし、これは二重の意味でバランスを欠きます。

 まず、報道等により突然その名誉を毀損された者に、「なかったことの証明」すなわち悪魔の証明を強いることになるという意味でバランスを欠きます。しかも、ジャーナリストは、自分が気にくわない人や団体を貶めるためであれば、いくらでも荒唐無稽なストーリーを設定してその名誉を毀損することができます。しかし、その摘示事実が現実と乖離していればしているほど、名誉を毀損された側は、そのような事実がなかったことを立証することは困難となります。例えば、マスメディアに3億円事件の真犯人と決めつけられた人物が社会の偏見に苦しみついには自殺してしまったということが過去にありましたが、その人はたまたま3億円事件の犯行時刻にアリバイがあったので真犯人ではないことがわかっていますが、逆に言うと、アリバイ立証ができない場合に、そのころその地域に住んでいて年格好が似ていた人が3億円事件の真犯人でないことを立証することは困難です。

 また、ジャーナリストや報道機関は、当該事実摘示により、経済的な利益を得る機会を与えられており、多くの場合、実際に経済的利益を得ています。これに対し、名誉を毀損される側は、自己に関する事実が報道機関により摘示されることによって何らの利益をも受けないのが通常です。であるのに、摘示事実が真実であるか否かの立証責任を、名誉を毀損される側が負わなければならないというのは不合理です。

 また、ジャーナリストや報道機関は、報道される側に関する特定の事実のみを意図的に切り取ってこれを摘示するわけですから、その立証責任を負わされたとしても、その事実に関連する裏付け資料を収集しておけば足ります。これに対し、報道される側は、報道する側が自己に関するどの事実を取り上げるのかをコントロールすることはできないし、予測することも困難なので、報道する側からいかなる事実摘示を受けてもその事実がなかったことを立証できるようにしようと思ったら、自己の行動・言動の全てを記録に留め、保管しておく必要が生じますが、それは非現実的です。

 また、報道された側に摘示事実が真実でないことの立証責任を負わせた場合、報道された側は、その事実が真実でないことを立証するために、プライバシー情報や営業秘密、あるいは第三者との間で秘密保持義務を負っている情報を開示する必要が生ずる場合があります。秘密情報を開示するか、名誉を毀損されて泣き寝入りするかの選択を報道側に迫る正当性が、ジャーナリストや報道機関にあるとは思えません。

 名誉毀損訴訟においては被告の側に摘示事実の真実性の立証責任を負わせている現行制度においても、ジャーナリスト側がちゃんと裏付け取材をしていれば、報道された側の請求は棄却されているわけで、真実性の立証責任を転換するメリットは、裏付け取材なんて面倒なことをしたくない怠惰なジャーナリストや報道機関を利する意味しかないように思います。

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