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05/10/2016

それは、弁護士会の手に余る

 産経新聞が、「法曹養成 活躍の場増やす努力せよ」と題する社説で以下のように主張されています。

 弁護士や裁判官などの地域的偏在は解決されていない。災害被災地など長期的、組織的な法律家の支援を必要としている場がある。高齢者や子供を守る法曹の支援の重要性は増している。企業や官公庁、国際舞台で法律知識と交渉力を持つ人材が望まれている。
 弁護士会はこうした現状をみつめ、もっと活躍の場を広げ、法曹の仕事の意義や魅力アップの方策を考えてはどうか。

 この社説を書いた論説委員はずっと知識を更新しない人なんじゃないかと心配になります。

 弁護士の「ゼロワン」地域は既に解消されています。過払い金請求が一段落した今、弁護士が足りない地域があるという話を聞きません。裁判官が過疎化した支部に常駐しない問題は、弁護士会ではどうしようもありません。

 「災害被災地など長期的、組織的な法律家の支援を必要としている場」には東京などの大規模会から弁護士が派遣されています。現在都会で構えている事務所を捨ててそのような場に常駐するためには、「長期的、組織的な法律家の支援」が必要となくなった後もそこで開業し続けられる見込みが必要です。高齢者や子どもを守る仕事をする弁護士も普通に存在しています。足りないのは、弁護士の助けを必要とする高齢者や子どもが支払える報酬額と、弁護士が事務所を維持しさらに人並みの生活をするのに必要な報酬額とのギャップを埋める組織です。それも、弁護士会がどうこうできる問題ではありません。

 また、「国際舞台で法律知識と交渉力を持つ人材」を育てるためには、さしたる実績のない若い弁護士にそのような交渉に関与させる企業や官公庁が不可欠です。その種の人材は、法科大学院や弁護士会での研修によって生み出せるものではなく、一定の経験が必要だからです。もちろん、その経験を積む間無給では餓死しますので、きちんと報酬を払って若い弁護士をそのような場に就ける企業や官公庁が必要なのです。弁護士会ではどうしようもできません。

 「俺様が倫理の御旗を振れば、お前らは経済的合理性を無視して国家社会のために行動せざるを得ないはずだ」という甘い考えを持っているメディアは、そういう考え方が、平成の司法改革という史上希に見る「ダメ改革」を引き起こしたのだと言うことを、いい加減理解してほしいと思います。

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