12/09/2017

ネット右翼(ネトウヨ)の定義

 ネット右翼(ネトウヨ)の定義が時折問題になるので、掲げておきます。

【ネトウヨ】「ネット右翼」の略。主として、電子掲示板やブログやミニブログ、他者のブログのコメント欄等を用いて、日本の周辺諸国や国内のマイノリティ、左派的な組織等もしくはそれらに好意的な人々またはそれらに対する不当な攻撃に批判的な人々に嫌がらせをすることで自尊心を保ちまたは同種の人たちとの連帯感にすがる人。多くの場合、「国を愛する」というのは、その悪行を正当化するための建前でしかなく、自ら率先して自国を良くしていこうと行動することは希である。

26/07/2017

日本国籍を取得していないと親方になれないのか。

 横綱白鵬が、日本国籍を取得するとかしないとかという話が話題になっています。日本国籍を取得するとすれば、それは、引退後、親方となって後進の指導に当たるためと言うことだと思います。ところで、本当に日本国籍を取らなければ親方になれないのでしょうか。

 「親方」というのは俗な名称で、公式には「年寄」という言い方をします。では、日本国籍を有していないと「年寄」になれないのでしょうか。

 公益財団法人日本相撲協会の定款を見てみましょう。「相撲部屋における人材育成業務の委託」に関する規定は第46条に、「年寄」に関する規定は第47条と第48条にあります。引用してみましょう。

 

(相撲部屋における人材育成業務の委託)
第46条この法人は、相撲道を師資相伝するため、相撲部屋を運営する者及び他の者のうち、この法人が認める者に、人材育成業務を委託する。
2 この法人は、委託業務に関して、規程に定める費用を支払う。
3 委託業務に必要な事項は、理事会が別に定める。

(年寄名跡)
第47条 年寄名跡は、この法人が管理するものとする。
2 退任する年寄は、 この法人に名跡を襲者推薦とができる。ただし退任する年寄は、 この法人に名跡を襲者推薦とができ。ただし退任する年寄は、 この法人に名跡を襲者推薦することができる。ただし、退任後5年以内を限度として推薦するものとする。
3 年寄名跡を襲する者は、資格審査委員会で審査した結果に基づき理事会で決定する。
4 何人も、年寄名跡の襲名及び年寄名跡を襲名する者の推薦に関して金銭等の授受をしてはならない。
5 前項の定めに違反した者は厳重な処分をすることとし、これを含めて年寄り名跡に関する規程は理事会が別に定める。

(年 寄)
第48 条 この法人には、協会員として年寄を置く。
2 年寄は、名跡を襲した者とする。
3 年寄は、理事長の指示に従い、協会業実施あたる。

 これを見る限り、人材育成業務の委託先を日本国籍保有者に限定する規定もなければ、「年寄」を日本国籍保有者に限定する規定もありません。したがって、定款上は、外国人力士が、日本に帰化せずに、年寄となり、引き続き日本相撲協会の協会員として後進の指導に当たることは可能です。

 では、退任する年寄が、日本に帰化していない外国人力士を年寄名跡を襲名する者として推薦した場合に、日本相撲協会の理事会が、日本国籍を有していないことを理由として、その力士にその年寄名跡を襲名させないという決定をすることは許されるのでしょうか。

 相撲協会と力士との関係については、雇用契約とする見解と、準委任契約であるとする見解とが対立していたのですが、東京地方裁判所平成25年3月25日(平成23年(ワ)第20049号事件)は、有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約と解した上で、その解除については、民法656条,651条1項による解除ができると解することは相当ではなく、施行細則及び附属規定中の懲罰規定に基づき判断されるべきであって、解雇権濫用法理が直接適用されないにせよ、懲罰規定の解釈,判断における一般的な法理が考慮されるべきことは当然であるとしました。

 力士として引退後、年寄名跡を襲名して、年寄として協会員であり続けることは、相撲協会と力士との間の、有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約の、引退に伴う解約ルールの例外として捉えることができます。そして、それは、公益財団法人日本相撲協会の定款上で定められているルールですから、それを可とするか不可とするかについての理事会の決定は、完全に恣意的に行えるものではないように思われます。

 東京地判平成23年12月19日判タ1380号93頁は、東京工業大学が、原告がイラン国籍を有することを理由とする安全保障上の配慮に基づき,東工大原子炉工学研究所の研究生としての原告の入学出願を不許可とする決定をした件について、日本国憲法14条1項に違反するとともに,教育基本法4条1項(教育の機会均等)にも違反するので、違法であり、無効であるとしています。このように、通常一方当事者の裁量で決定することが可能な事項についても、それが日本国憲法等に違反するようなものであれば、その決定自体が違法であり、無効であるとされるわけです。

 日本相撲協会は、国立大学法人ではありませんが、公益財団法人ですので、日本国憲法第14条1項の平等原則に反しないように人事に関する決定を行う義務を有するものと解されても不思議ではありません。そうだとすると、国籍に関する条件がなければ通常年寄名跡の襲名を可とする決定が下されるであろう力士について、日本国籍を取得していないとの理由だけで、襲名を可としない決定を下したときに、その決定が違法であり、無効であるとされる可能性は十分にあるように思います。年寄が行うべき業務(理事長の指示に従った協会事業の実施)に関して、日本国籍を有しなければ困難とされる合理的な理由がありません。また、日本相撲協会は日本国籍を有しない力士を大量に協会員としており、引退後については日本国籍を有しないと言うだけの理由で差別的に取り扱うことに一種の禁反言的要素があるからです(相撲が神事であるということを理由とするのであれば、むしろ、神事たる相撲を執り行う力士が外国人であることの方が問題となるはずであり、既に力士が外国人であることを容認している以上、年寄について日本国籍を求める理由とはなり得ないと言うことです。)。

 日本国籍さえ取得してしまえば、白鵬ほどの力士であれば、確実に年寄名跡を襲名することを可とする決定が下りるので、後進のために敢えて日本国籍を取得せずに年寄名跡の襲名を推薦してもらい、これを不可とする決定を理事会に出させて、法廷闘争に持ち込めと要求するのは酷だとは思います。ただ、日本相撲協会の理事たちは、外国籍を有する力士たちが故郷と後進たちとの間の板挟みにならずに済むように、一日も早く、日本国籍を取得していなくとも年寄となり得るのだというルールに明示的に変えていただきたいものです。

01/06/2016

○○差別

 ある公害によってある地域の住民にある種の疾病が生ずる確率が高まったとして、その地域の住民を差別することは正当なのでしょうか。正当ではありませんね。

 だとすれば、ある公害によってある地域の住民にある種の疾病が生ずる確率が高まる可能性があると主張することや、そのような確率が高まる可能性を否定しないこと、あるいはある地域の住民に生じたある種の疾病の原因が当該公害にあるのではないかと考えて公言することは、その地域の住民に対する差別を正当化するものではありませんし、その地域の住民に対する差別そのものでもありません。

 そして、ある公害によってある地域の住民にある種の疾病が生ずる確率が高まる可能性があると主張することやある地域の住民に生じたある種の疾病の原因が当該公害にあるのではないかとの仮説を提示すること自体を、当該地域の住民に対する差別にあたるとレッテル張りして封じ込めることは、当該地域の住民に当該疾病が生じたときに当該公害の発生に責任のある企業等による補償等を求めることを封じ込めることになるという意味で、むしろ、当該地域の住民に不利益を課すことになります。

 今後、解析技術の発展により、当該地域の住民に生じた当該疾病が当該公害に起因するものであると分かったときには、当該地域の住民を差別することあるいは当該地域の住民のうち当該疾病に罹患した者を差別することが正当化されるとでも言うのでしょうか。そうでないのであれば、「○○差別」とかレッテル張りをして、ある公害とある疾病との関係を疑うこと自体を封じ込めようとすることは、直ちにやめるべきでしょう。

14/05/2016

外国からの留学生にまつわる陰謀論

 @naaaaaagi66 さんが、以下のように述べています。

(ここ重要❗️)与野党はひたすら中韓外国人給付奨学金制度を隠蔽。庶民派に擬態した共産党や生活ヤマタロも完全黙秘だ。この給付奨学金制度(中韓向けには実質移民斡旋制度❗️)が日本国解体・弱体化に直結している。何より、主権者・納税者の教育を受ける権利が憲法違反状態で逆差別を受けている。

 まず、「中韓外国人給付奨学金制度」というものはありません。

 また、外国からの留学生に対し、国、地方公共団体、または一般のNPO法人等が給付型の奨学金を給付することとする場合はありますが、少なくとも国や地方公共団体若しくはそれらの外国団体が運営主体となっている場合には公開されています。

 また、平成24年5月現在で、台湾人を除く留学生の62%が中国人、12%が韓国人であるにもかかわらず、国費留学生数の12%が中国人、9.9%が韓国人です。すなわち、中国人、韓国人は、日本の国費留学生に選ばれにくいというのが現状です。

 また、「この給付奨学金制度」が「中韓向けには実質移民斡旋制度」というのも根拠のないデマです。これを見る限り、中国や韓国からの留学生のうち日本国内での就職を希望して滞在資格を変更するのは、全体の約1割程度です。しかもこれは国費留学生に限った数字ではありません。

 また、これが「日本国解体・弱体化に直結している。」とありますが、中国・韓国からの留学生がその後就職目的で滞在資格を切り替えるなんて所詮年間1万人を切る話です。この人の言う「日本国解体・弱体化」が何を指すのかわかりませんが、そんな少人数の人たちに「解体・弱体化」されてしまうほど柔なんでしょうか。

 また、「何より、主権者・納税者の教育を受ける権利が憲法違反状態で逆差別を受けている。」とのことですが、留学生に対して受入国が給付型の奨学金を提供するというのは諸外国においても普通に行われていることであり、これが憲法第何条に違反するのか、理解しがたいところです。

 なお、日本からの留学生に対し韓国政府が給付型奨学金を提供するもあるし、中国政府が給付型奨学金を提供するもあります。

14/04/2014

教育勅語を教育現場で活用する前に

 みんなの党の和田政宗議員が、Twitterで以下のようにつぶやいています。

8日の文教科学委員会。教育勅語の教育現場での活用を質問。昭和23年に国会で教育勅語の排除決議や失効確認決議がなされているが、決議は関係なく活用出来ると大臣答弁。「教育勅語をそのまま使うことは歴史的経緯から相当理解を求める必要があるが、内容に着目し学校教育で使うことは差し支えない」

 しかし、国定教科書が主な情報源だった時代とは異なり、現代は、子どもたちとて様々な方面から情報を入手しますから、大人たち、それも世間的にみて高い地位に就いている大人たちが守っていない徳目をいくら暗唱させたって、子どもたちをしらけさせるだけです。

 みんなの党の醜悪な分裂劇を見せつけた後で子どもたちに「朋友相信シ」と唱道させたってしらけると思いませんか?

 政治家による相次ぐ失言を見せつけた後で子どもたちに「恭儉己レヲ持シ」と唱道させたってしらけると思いませんか?

 保守派の政治家が生活保護バッシングに荷担したり、国内のマイノリティを差別したりする姿を見せつけた後で子どもたちに「博愛衆ニ及ホシ」と唱道させたってしらけると思いませんか?

 「受験」すら回避して大学までエスカレータ式に上がっていき、その後も社会人としてさして働かないままに親の地盤を継いで議員になっていく姿を見せつけた後で子どもたちに「學ヲ修メ業ヲ習ヒ」と唱道させたってしらけると思いませんか?

 自国の憲法を改正することを長年の悲願とすると言っている政治家がその憲法の研究者として誰もが第一人者と認める人の名前を知らないと言って一切恥じない姿を見せつけた後で子どもたちに「以テ智能ヲ啓發シ」と唱道させたってしらけると思いませんか。

 長きにわたり自国の未曾有の発展を支えてきた憲法を自国のトップが「恥ずかしい憲法」と吐き捨てるように貶める姿を見せつけた後で「常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ」と唱道させたってしらけると思いませんか?

 国が巨額の財政赤字に苦しんでいることを知りながら自分の死後遺産を国の遺贈するのではなく自分の子孫に相続させる、それもなるべく節税対策をする富裕層の姿を見せつけた後で「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」と唱道させたってしらけると思いませんか?

 儒学の影響を強く受けた江戸期以降において、むしろ社会的地位の高い人たちこそ率先して「道徳」律を守るべきものとされてきたはずなのですが、なぜそういう部分に限って「日本の伝統」に背こうとするのか、私には理解できません。

26/10/2013

非嫡出子の相続分について

 嫡出でない子の相続分を、嫡出である子の相続分の2分の1とした民法900条4号ただし書きを違憲無効とした最高裁判決は、法的思考を苦手とする人を改めて浮かび上がらせる効果を持っているようです。

 石井孝明さんというアゴラ系の「ジャーナリスト」が次のように書いています。

私は記者であり、抽象論を思考するのが苦手だ。50代のある人の現実を紹介したい。

その人はある上場企業の幹部だ。今80代の地方の中堅製造業の社長の父から、40年前に婚外子の一人の弟の存在を聞かされた。始めは複雑な気持ちだったが、共に30代になって交際を始め時おり酒を酌み交わすまでになった。ところが父の体調がよくない中で、この判決で、微妙なすきま風が兄弟の間に入り始めたという。

その人は同腹の妹がいて、妹婿が会社の経営を継いだ。しかし経営は行き詰まり、先は見えない。実入りの良かったのは過去の話で、バブルを経て保有していた土地を売り、家も抵当に入り、父が死んだら不動産への相続税も取られる。資産は、家と縮小した会社の経営権程度しかない。

この人は当初は相続を放棄して、老いた母と不動産としての家を守ろうと考えた。ところが、この判決で法改正が行われれば、それができなくなりそうという。おそらく婚外子の弟は法定相続分を請求しそうだ。「弟とのかけひきが始まって疲れる」という。

 石井さんは、抽象論を思考が苦手なだけではなく、具体論を思考するのも苦手なようです。具体的な例を出しただけでは、思考したことにはならないのです。

 石井さんが出した事例を具体的に考えるとどういう結論が導かれるでしょうか。

 まず、「この判決で法改正が行われれば、それができなくなりそうという。おそらく婚外子の弟は法定相続分を請求しそうだ。」とありますが、最高裁が全員一致で900条4号ただし書きを違憲無効とした以上、この規定を削除する法改正を立法府が行わなかったとしても、下級審は900条4号ただし書きが違憲無効であることを前提に調停案を作成し、審判を行い、判決を下すでしょう。特定の法令について違憲無効とした最高裁判決の効力は当該事件にしか及ばないという個別効力説に立ったとしても、下級審にも違憲立法審査権があり、かつ最高裁で違憲無効判決が下されることが予定されている法令を適用した判決を下してもそれにより不利益を受ける側の当事者が上告し判決が破棄されることが予想されることを考慮すれば、この法令を適用した判決を下すことは訴訟経済に合わないからです。とりわけ、今回は、回避した1人を除く最高裁判事全員(鳩山政権誕生以前に就任した判事も、第二次安倍政権発足以降に就任した判事も含む。)が一致して900条4号ただし書きを違憲無効としたわけで、最高裁判事の任命方式をドラスティックに変えない限り、いくらやっても900条4号ただし書きを違憲無効とする判断を最高裁は下し続けることが予想されます。

 また、900条4号ただし書きが違憲無効でなかったとしても、嫡出でない子には法定相続分があるので、上記具体例において、「婚外子の弟は法定相続分を請求」することは十分に予想されます。900条4号ただし書きが違憲無効となることによって変わるのは、法定相続割合のみです。配偶者1人、嫡出子2人、非嫡出子1人の例であれば、配偶者2分の1、嫡出子1人につき5分の1、非嫡出子10分の1だったのが、配偶者2分の1、嫡出子1人につき6分の1、非嫡出子6分の1に変わるだけのことです。したがって、「900条4号ただし書きが違憲無効とされたから非嫡出子が法定相続分を請求してきた。有効だったら請求してこなかったはずだ」という話には実際にはなりにくいかと思います。

 さらにいえば、経営が「行き詰まり、先は見えない」会社の経営権と、抵当に入った自宅建物しか相続財産がないのであれば、900条4号ただし書きが違憲無効となることによって「婚外子の弟」の法定相続分が10分の1から6分の1に増えたからといって、それほど負担額が増えることにならないように思われます。父親が生前に娘婿に相続財産を全部相続させる旨の遺言をしておけば、この「婚外子の弟」が遺留分として取得できる割合は、さらに、半減します。

 また、上記例では、たまたま「会社の経営を引き継がない」側の嫡出子は上場企業の幹部だということもあり「当初は相続を放棄して、老いた母と不動産としての家を守ろうと考えた」だけであって、会社の経営を引き継がない嫡出子が法定相続分を請求し、または遺留分減殺請求することは十分に考えられます。さらにいえば、非嫡出子の方が経営を引き継ぐことだってあり得ます(男性に経営を引き継がせたいという意向が強い場合に、嫡出子である娘の夫に継承させるか、非嫡出子である息子に引き継がせるのかという判断をすることになり、後者を選択する中小企業経営者がそれなりにいるだろうことは想像に難くありません。)。この場合、900条4号ただし書きの規定を存続させても、事業継承の円滑化の役には立たないということができます。

 さらに石井さんは続けます。

作家の門田隆将氏が、雑誌WILL11月号のエッセイ「事件の現場から--偽善に満ちた最高裁判決」で、日本の現状からこの制度は「日本人の長年の英知を否定する」という面があり、「家制度の破壊につながるのではないか」と指摘していた。

日本の平均的な男の稼ぐ力では生涯に家を一軒持てるのがやっとだ。「本妻が生きていた場合、二分の一を取り、嫡出子と婚外子がその残りを平等に分け合うとすれば、それは家を売却して現金化するしかなくなる」という。今の80代は家の形で資産を持ち、その購入に収入を振り向けたケースが多い。それを門田氏は「英知」と述べた。

 嫡出子が二人いる場合との違いがよくわかりません。門田さんや石井さんは、よもや「婚外子さえいなければ、遺産の継承は一人の『跡取り』に一本化できる」と思っているわけではないと思いますが(どろどろの相続紛争の大部分は、嫡出子しかいないケースで起こっています。)。

 さらに石井さんは、

社会秩序の問題だ。海外と比べて日本の婚外子の割合は小さすぎる。2008年でわずか2%。スウェーデンの54%を筆頭に、欧米では3割以上がざらだ。

とした上で

婚姻という制度が維持されている。そしてその維持は、社会的なメリットが今でも多い。だからこそ、法律上も優遇された面があるのだ。それをわざわざ国が壊すことを促す必要はあるのかと、判決に疑問を持った。

と述べます。通常「〜すぎる」という表現は、ネガティブなニュアンスを表すときに使うのにこの人は何なのだろうとは思いますがそれはさておき、海外における婚外子の多くは、「正妻がいるにもかかわらず、資産家が愛人に産ませた子」ではなく、そもそも誰とも法律婚をしていない男女の間に産まれた子なので、「嫡出子と非嫡出子の法定相続分が同一だからこそ婚外子が多い」というわけではありません。

 また、少なくとも日本法において法律婚を行うインセンティブとしては、事実婚の相手方は法定相続人とはなり得ないということで確保されていますし、法律婚をしている場合にさらに「愛人」をもつことは貞操義務違反として不法行為となる仕組みを設けていますので、900条4号ただし書きを廃止しても、婚姻制度が維持されていることに変わりはありません。また、「愛人」との間に生まれた子の法定相続分が「本妻」との間の子の法定相続分の2分の1であるという規定が、「不倫」を抑制してきたとする考えには現実味がありません(基本的には、死んだときのことを考えて「不倫」をする人はほとんどいません。)。

 さらに、石井さんは次のように続けます。

第三の論点は、感情の問題だ。

前出の社長と3家族の関係は40年前からよくなかったが、婚外子の存在でさらに悪化した。結局、母親は離婚を子供たちのためにしなかったが、この50代男性と父との間は、ぎくしゃくして、何とか和解したのは40代だったという。「自分が不倫して、楽しんだ後で苦しんだから父の気持ちが分かった」のが和解のきっかけと、生々しい話も聞いたが詳細は知らない。ただその人は老いた母親の感情を心配していた。

 愛人を作って子どもまで生ませた社長と、その「本妻」や「本妻の子」との関係がぎくしゃくするのは、自業自得というものです。しかし、愛人との間に産まれた子を差別的に取り扱うことにより、その「本妻」や「本妻の子」の社長に対する悪感情を緩和せよといわれると、それは筋違いのように思えてなりません。「愛人の子」を国家が差別してみせることにより、不倫をした「夫」が「本妻」の感情を和らげ、関係を改善するのを促すということを正当だとするセンスにはついていくことができません。

 それ以前に、そもそも、差別する側の「感情」が法的な差別を正当化するという発想は危険だといわざるを得ません。これは、様々な差別を正当化しかねない発想であり、少なくとも戦後の日本社会にはむしろ相容れない発想ということができます。

 こういう文章を掲載してしまう「アゴラ」というのは、実に寛大なところだと感心した次第です。

08/05/2013

訪れた国

 今まで訪れた国を色分けしてくれるサービスがあったので、使ってみました。



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07/06/2012

片山さつき議員による弁護士活動の自由に対する挑戦

 自民党の片山さつき議員がツイッターで次のようにつぶやいています

ミヤネ屋で河本梶原を必死に擁護の弁護士が朝鮮学校の弁護士! http://gsoku.com/archives/81002 … 普門大輔弁護士の外国人参政権著作、過去の弁護案件、あくまで客観的にツイートします(笑)しかもこの日のいつもの弁護士コメンテーターではない?面白い!BPOでガンガンやりましょう!

 「朝鮮学校の弁護士」というのはよくわからない表現ですが、リンク先を見る限り、「大阪朝鮮高級学校運動場明渡し裁判」において朝鮮学校側の代理人を務めた弁護士という意味のようです。「外国人参政権著作」というのも漠然としていますが、リンク先を見る限り、外国人人権法連絡会編『日本における 外国人・民族的マイノリティ人権白書 2006年』における「アフリカ系アメリカ人に対する入店拒否」という論文のことをおっしゃっているようです。

 BPOとは、倫理・番組向上機構の略であり、放送倫理検証委員会 、放送と人権等権利に関する委員会、放送と青少年に関する委員会が置かれています。しかし、弁護士が特定の訴訟で一方当事者の代理人を務めた弁護士をワイドショーに出演させ、発言をさせたことを上記のどの委員会で取り上げることができるのか私には理解できません。

 市民的及び政治的権利に関する国際規約14条1項にて「すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。」と定められている以上、「朝鮮学校」であろうと、正式な資格を有する弁護士に訴訟事務を委任して民事訴訟において十全な訴訟活動を行う権利があります。そのことは、特定の者──それが朝鮮学校等北朝鮮と一定の関係を有する個人又は団体であれ──から委任を受けて訴訟代理を引き受けたことを理由として、弁護士が公的領域において差別を受けることがあってはならないことを意味しています。

 したがって、普門弁護士が「大阪朝鮮高級学校運動場明渡し裁判」において朝鮮学校側の代理人を務めたからといって、普門弁護士をテレビ番組に出演させたことをBPOにて糾弾するのは、国際人権規約の趣旨と相容れないということになります。

 また、特定の事件において一方当事者の訴訟代理を引き受けた弁護士に第三者がそれと関係のない仕事を依頼した場合に、その第三者が国会議員等による糾弾に晒されるというのは、弁護士から見れば、どんな事件でどんな当事者の訴訟代理を引き受けるのかという基本的な点に関して、政治家による介入を受けるということとほぼ同義です。そして、そのような介入は、基本的人権の尊重擁護を主たる目的とする弁護士制度への挑戦ともいうべきものとなるといえそうです。

13/11/2011

TPP参加問題

 TPP交渉に日本政府として参加するか否かを巡り、激しい対立があるようです。

 ただ、交渉に参加したら不当な条項を丸呑みにしなければならない前提っておかしいと思っています。既に条項が固まって、既に批准国が一定の限度を超えて発行している条約に後から参加し批准する場合ですら、国内法に抵触する条項等について留保することが通常可能です。まして、未だ条項が固まっていないTPPについて、日本が交渉に参加したら即、ありとあらゆる日本の不利な条項を丸呑みしなければならないという自体にはなり得ないと思われるからです。

 特に、おおむね民主主義国では、条約締結に向けた交渉に参加するには議会の承認はいらないが、条約を批准するには議会の承認を要することとされているため、交渉には参加したが、全条項丸呑みでは議会を通らないということは想定の範囲内なので、「交渉に参加したが最後、丸呑みするしかない」という仕組みになっているとは思われません。

 さらにいえば、TPP参加国として想定されている国々のうち日本は経済規模がアメリカに次ぐ大国であり、日本の参加不参加がその成功の鍵を握っているので、「そのような条項は承認できない」ときっぱりと主張をすればそれ以上ごり押しをすることも難しいのではないかと思います。

 むしろ、問題は、自分たちの利益を図るために外圧を利用してきた人々が、TPPを利用して、自分たちに有利な仕組みをTPPに盛り込ませようとすることなのではないかと思います。

 そのようなことをさせないためには、「交渉に参加するな」ということにエネルギーを浪費するのではなく、それぞれの領域について、政府に対し、情報の公開と、どのようなルール作りを提唱するのかについて、市民参加型で協議をする場の設置を設けるように要求した上で、知恵を出し合うことにエネルギーを使った方がいいのではないかと思います。

 特に、利害対立が国家間ではなく、国内のポジション間で鋭く対立する問題(知的財産問題などは典型的です。)については、米国等の市民団体とも連携しうるのではないかと思われます。

23/08/2011

ササクレ屋さんへの反論(中編)

 さて、続きです。

 ササクレ屋さんは、小寺さんのエントリーを次のようにまとめます。

・しかしブームの火付けに失敗したのでエスカレートしすぎてかつてない反感を買った。<これが小寺さんの見るフジへの反感の第一の理由>
・(K-POPや韓国ドラマといった「韓流コンテンツ」ではなく)売ろうとした商品が「韓国」であった。<第二の理由>

 しかし、冬のソナタを推していたころのNHKならばともかく、フジの韓流ドラマは、平日の昼間の午後2時以降の枠で放送されています。この時間帯は、視聴者層が専業主婦と高齢者中心であり、もともと「ブームに火を付ける」云々とは縁がない時間帯です。実際、同時間帯の民放各局の番組を見ると、日本テレビが「ミヤネヤ」を放送しているものの、それ以外はドラマやサスペンスを再放送しているというのが実情です。「ブームの火付け行為がエスカレートしすぎた」とは、とてもではないがいえないところです。

 また、K-POPにしても、人気のある音楽番組に出演してシングルカット楽曲を歌う、ドラマの主題歌やCMのBGMに使ってもらうというのは音楽コンテンツの宣伝広告手法としてはきわめてありふれており、「エスカレートしすぎ」たとは言えないように思います。

 次に、売ろうとした商品が「韓流コンテンツ」ではなく「韓国」であったとするのはかなりうがった見方のように思われてなりません。フジテレビは、K-POPについては音楽出版権を押さえているので、その売り上げの向上は利益に繋がりますが、「韓国」自体の好感度が上がっても、直接的な利益を受けることができません。私も、Hey!Hey!Hey!にK-POPユニットが出ている場面を見たことがありますが、そのユニットではなく、その属する「韓国」という国を売り込んでいるようにはとうてい見えなかったわけです。っていうか、フジテレビにおけるK-POPユニットの扱いのどの部分に「『韓国』という国自体を売り込んでいるのだ」感を感じたのか、理解不能です。

 むしろ、フジテレビが韓流コンテンツを流すことに対して「『韓国』を売ろうとしているのだ」と感ずるのは、韓流コンテンツがどうのこうのではなく、「韓国」自体を拒絶したい気持ちがその受け手に強いからなのではないかと思います。

 ササクレ屋さんは、

国家に対して思うところがあるという理由で韓流コンテンツも好きになれない人がいたとしても人種差別呼ばわりするべきではないし、フジテレビ問題は国家・コンテンツ両方に対しての「好き嫌い」だけが論点でもない
とおっしゃいます。しかし、出自を基準に好き嫌いを判断している時点でレイシズムであり、ただそれが自分自身の商品等(特にコンテンツ系のように「好き嫌い」で決めることが当然に許容されるもの)の選択基準を構成するにとどまっている場合には、許容限度内にとどまっていると言うべきなのだと思います。それが、「だから、フジテレビは放送するな」と他者にまで「出自を基準とする好き嫌い」を押しつける段になると、許容限度を超えるレイシズムということになるわけです。

 ということで、ササクレ屋さんの、

いくら日韓友好が善なることであっても「批判するな嫌うな」「それをするのは差別だ」と決め付けるのはあからさまにおかしいはずなのですが、小倉さん以外にもこの騒動の出発点・主流層が差別主義的な反韓だとみなすかのような人がブクマコメントにも意外に多いですねー。
という批判は、的が外れているということになります。

 さらに、ササクレ屋さんは深水さんの見解を、

・局が電波を使って自らやその子会社が著作権や商品化の権利を持っているコンテンツを宣伝するような行為(※1)は違法。

とまとめた上で、放送法第51条の2を引用した上で、

韓流コンテンツの権利をテレビ局が押さえる → コンテンツのCMを放送する これなら問題なし。CMと認識されない番組内で韓流コンテンツの宣伝を(有料で)行うのがステルスマーケティングであり違法となります。

と断言します。

 しかし、放送法51条の2は、

一般放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない。
と規定するので、①自社商品の放送番組内で宣伝すること、②対価を得ずに他社商品を宣伝することは適法だということになります。

 テレビ番組では市販の商品を番組内で組み入れることはある意味で不可避的であり(これを回避しようとすると、ある種のNHKの番組のように不自然となります。)、かつ、番組内に組み込むだけでその商品の宣伝広告に繋がってしまうという性質がある故に、広告放送部分以外でも特定の商品を宣伝することとなってしまうのはテレビ番組の定めであると言えます。

 それを否定すると、テレビ番組自体が成立しにくくなります。歌番組に至っては、レコード等が市販されている楽曲、市販される可能性のある楽曲をその歌手に歌ってもらうことすらできなくなるので、少なくともポピュラーミュージックを対象とするものは成立しなくなります。放送法51条の2がそのような結果を招来しようというものでないことは明らかです。

 

◆放送法の意図するところは視聴者が「CMと認識しない状態で宣伝を見せられるのを避ける」ことなので、ステルスマーケティングは広告宣伝料の有無に関わらず視聴者の不利益なので批判され問題視されてしかるべきことです。
とまで言われてしまうと、もはや、情報系番組は崩壊します。「ぶらり途中下車の旅」すらアウトになります。「食いしん坊万歳」なんてもってのほかです(口に合わなくても、まずいとは言わないんだぜい!)。しかし、それらの番組を中止に追い込もうという人は、昨日お台場まで出かけた人の中にいないわけです。では、なぜ、音楽番組でK-POPを取り上げることをことさら「ステルスマーケティング」と言って糾弾しようとするのでしょうか。レイシズム故でしょう。

 さらに、ササクレ屋さんは、深水さんの見解をまとめる形で、

ましてやどこかの国のプロパガンダのような番組(※2)を流したりすることは禁止されて当然。

と述べた上で、

「韓国の悪いイメージにつながることを報道しなさすぎる(偏向)」傾向は明らかにありますし、「韓国をほめるために何かと日本を貶める」例も気のせいでは済まないレベル。これは政策として反日を是とする韓国が官民挙げて実行していることなので、こういう点は充分に ※2 韓国のプロパガンダを日本マスコミが実践しているとんでもない例です。

と述べます。

 しかし、ゲストとして外国の歌手が歌番組に登場しているときに、その歌手の母国の悪いイメージになることをわざわざかぶせないというのは当たり前の話です。その歌手が社会派で、歌の中で自国の暗部を糾弾しようとしているならともかく、普通に恋愛中心の歌を歌う歌手に対してそんな仕打ちはしません。

 報道番組では、韓国社会の問題点を報道することはあります。ただ、見る人が韓国に対する憎悪を煮えたぎらせるような作り方を日本の報道番組はしませんが、それは韓国に対してのみ特別にしないのではなく、どの国についてもしません。嫌韓プロパガンダに協力しないから偏向だ!といわれても、レイシズムに毒されていない普通の日本人は戸惑うより他ありません。「韓国に対して悪いイメージを与えるような番組作りをしないフジテレビは許せない!」という怒りは、レイシズムと評価されて当然だと言うべきです。

 眠くなったので、続きはまた後で。

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